家計簿,付け方
(写真=Thinkstock/Getty Images)

もうすぐ新年。1年の資産状況を整理しようと思ったとき、家計簿を見直そうとしてはいないだろうか。

多くの場合、家計簿は月々の収支(キャッシュフロー)を記録する程度にとどまっている。しかし収支記録だけでは、「先月は黒字」「今月は赤字」などと、一時的な結果に振り回されやすい。家計簿のそもそもの目的を考えるなら、収支だけでなく、家庭の財産・債務状況をも把握したほうが本当はよいのだ。

家計簿の目的は「望ましい人生を実現するため」

そもそも、家計簿は何のためにつけるのだろうか。「限られた予算の中で生活していくため」「資産を作っていくため」「借金を計画的に返済していくため」などいろいろあるが、究極的には「自分や家族にとって望ましい人生を送るため」のものだ。

人は誰しも、自分らしく生き、幸福になりたいと願う。ある人は子ども3人を持ち、家族でにぎやかに楽しく暮らす夢を描く。別のある人は、毎年海外旅行をして、さまざまな文化に触れたいと思う。また別のある人は、いずれ自分で会社を経営したいという願いをもっている。そういった夢や目標を実現するのに、もっとも役立つツールが「お金」だ。

いつでも簡単にお金が入ればよいが、現実には、働いたり交渉したりしないとお金は手に入らない。さらに、手元のお金を管理していなければ、あっという間になくなってしまう。なぜなら人は理想を掲げる一方、目先の欲望に弱い生き物でもあるからだ。こういった人間の性質を上手にコントロールしながら、その人自身の夢をかなえるのに役に立つのが家計簿だ。

ただし、収支計算だけでは毎月の黒字・赤字しか把握できない。どのくらい貯金がありどのくらいローンがあるのかといった財産・債務状況を知らなければ、いくら節約しても徒労に終わる。

仮に毎月5000円の節約に成功しても、1000万円の借金を把握していなければ、「焼け石に水」にしかならない。また、家計は人生の変化と連動している。そのため、子供が小さいうちに浪費をし、子供の教育費がかかるときに無理な節約をすれば、その家計は家族を幸せにするのではなく、首を絞めるものになる。

こういうとき、全体の財務状況を把握しながら家計簿をつけていけば、無理のない家計予算をたてながら生活をし、目標を叶えることができるのだ。

個人も企業を見習おう!「個人BS/PL」のススメ

個人が建設的な家計を行うにあたり、参考になるのが企業会計のやり方だ。企業は原則として、貸借対照表(Balance Sheet、以下BS)と損益計算書(Profit and Loss、以下PL)という二つの財務諸表を毎期作成しなくてはいけない。

PLは企業経営の「成績表」、BSは企業の「健康診断結果」と言われている。企業の会計期間は大抵1年間なのだが、PLでは、この1年間でどれだけ売上をあげ、どれだけ利益を出したか、また、どのような活動をしたことで売上や利益が増減したのかを把握できる。そして、前期や前々期のPLと比較・分析・検討することで翌期以降の経営戦略を立てることができるのだ。

一方BSでは、企業の資産・負債・資本の保有状態を読み解くことから、支払能力や信用力がどれほどあるのか、回収や支払に滞りはないか、資産を有効に活用できているかどうかなど、期末時点での企業の元気度を細かく把握することができる。そして、同業他社のBSと比較することで、投資や取引の相手として妥当か否かを検討することが可能となる。

これら財務諸表は、その企業内部で把握するためだけのものではない。銀行や税務署、取引先などから提示を要求されるものでもある。なぜかというと、財務諸表で企業の信用度や安定度、将来性を見ることができるからだ。PLだけでは企業の信用力が測れないし、BSだけでは企業の努力内容を知ることができない。全体を見るためには、BSとPLの両方が必要なのだ。

この企業会計の考え方を個人の家計に応用してみよう。きっと、毎月の収支に一喜一憂するのではなく、現在の家計の状況を冷静に把握することができるだろう。同時に、状況に応じて収支計画を柔軟にたて、ストレスなく夢や目標を実現することにつながるはずだ。

どうやって個人BS/PLを作ったらいいのか

では、どのようにして個人BS/PLを作ったらいいだろうか。BSとPLを作るには、複式簿記という会計システムにのっとって日々の収支を記録していくことが必要となる。複式簿記では一般的な家計簿(単式簿記)ではなく、「仕訳」という作業が欠かせないのだが、簿記3級以上を勉強した人でないと、仕組みを理解し、財務諸表を作ることは難しい。

そこでオススメしたいのが、最近注目を浴びている家計簿アプリだ。個人BS/PLを作成するにあたっては、家計簿アプリの中でも、財務状況をも自動的に作成するものを選んでいただきたい。預貯金や投資だけでなく、ローンの借り入れや住宅購入などについても記録を行うことで、個人の収支だけでなく、財産や債務の状況を全体的に把握することができる。

「アプリは苦手」「自ら手で作ってみたい」という場合には、簿記3級を勉強してみることを提案する。

巷によくある会計本でもよいが、カンタンな解説にとどまっている反面、きちんとした理解につながりにくい。複式簿記は、骨子をきちんと理解しないと、家計状況が変わったときに対処がしきれない。

それに対し、簿記3級はさまざまな検定試験の中で開催頻度が高く、最も手軽な試験だ。一旦身につけると、家計だけでなく、仕事や投資の際にも必ず役立ち、一石二鳥となる。スキマ時間でも学習可能なので、やってみて損はない。

自分らしい生き方を実現するために

専業主婦が決まった予算の中で食費や日用品をチェックする程度なら、単なる収支計算でも問題ない。なぜなら、日常生活での予算はそもそも少額だし、日々の生活に影響することはあっても、家族全員の人生を左右するほどのものではない。

しかし、家庭全体の財産や債務は個人や家族の人生に大きな影響を与える。計画や管理を怠り、いざというときの資金が用意できなければ思い通りの人生を生きることはできない。自分らしい生き方を実現するためにも、個人の家計でBSとPLの両方を用意した方がよいだろう。(ZUU online 編集部)

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