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(写真=PIXTA)

大阪市議会で12月13日、市営地下鉄民営化の基本方針が可決された。新聞報道によれば、市営地下鉄は2010年度に累積の赤字を解消。2015年度には単年度で過去最高の約374億円の黒字を出すなど、経営は好調だという。

これまで自治体運営の団体や施設の民営化は、赤字の解消を目指すイメージが強かったが、この1日1億円もの黒字を生む優良な地下鉄を民営化するのはなぜか。

新規事業への参入も視野

市営地下鉄は、2014年には初乗り運賃も200円から180円に値下げし、来年からは一部区間を240円から230円にする予定だという。民営化後の運賃値下げは今のところは無いとの意向のようだ。

大阪市は、民営化で税収や株の配当で年約100億円が入ると見込んでいる。民にできる事 は民にしてもらうという考え方も根っこの部分ではある。株主が常にチェックできる体制となることで戦略的経営が容易になり、鉄道以外の事業への進出といった経営に対する自由度が増す事で、都市の発展にも寄与するとしている。

さらに 異業種である保育所や高齢者施設、ホテル経営といった新規事業への進出ももくろんでいる。

今後益々少子高齢化が進むことから、何よりも本業である地下鉄事業が長期的には乗車人員が減り、経営環境は厳しさが増すと予想。赤字路線も4路線あり、採算の面で維持が難しくなると言う警戒感もあるというのだ。

民営化のメリットとは何か

市にとってのメリットは、補助金を減らせることと税収増だ。2011年度に市営地下鉄は167億円の黒字を出してはいるが、市の一般会計からは104億円の補助金が地下鉄運営に出資されている。単純計算で実際には63億円の黒字という事になる。民営化をすれば104億円の一般会計支出はゼロになるし、民間企業と言う事で固定資産税50億円、株式配当で約25億円が市に入り上場することで大阪市は巨額な売却益も得られると言う計算がある。

ほかにも民営化によるメリットは、公営企業体の意志決定には議会の承認が必要で時間がかかるが、民間企業であれば随意契約も可能で意思決定も早くなる。不動産などにも積極的に進出できるようになる。

自民党の歩み寄りが民営化を可能に

この問題では橋下前 市長時代にも2度提出されいずれも否決されてたというが、民営化に前向きな大阪維新の会と公明党に加え、対立姿勢を示してきた自民党も賛成したという。共産党は反対に回った。市は可決を受け市営地下鉄の廃止条例案を来年2月に議会に提出する方針だ。

毎日放送によると、急転したのは市側が出してきた民営化基本プランに対し、これまで反対していた自民党が12項目の修正を要望し、その多くが認められたからだという。そこには市に交通関連の部署を新設することや、バス専用路線(BRT)を使った社会実験の開始などが含まれているという。

反対意見も根強くある

地下鉄ビジネスには、駅や線路やトンネルの建設といった巨額の費用がかかるように、事業当初は出費が先行する。いったん駅や線路ができれば、あとは毎日キャッシュが入り累積損失が解消される仕組みだ。

多額の税金が投じられて来た事業が、今度は一部の民間企業の手に渡る事への疑問の声は根強く残っている。民営化で採算性や収益性が重視され今後はどうなるかわからないという不安。また民業を圧迫するという批判もあろう。

大阪市の地下鉄事業民営化は良いことばかりのような気がし期待できるところが多い。しかし懸念もある。バス事業はどうなるか。地下鉄との乗り継ぎ割引など相乗効果はあるのか。一番の心配は今里筋線延伸や湯里までの延伸が計画変更になるのでは--。赤字路線切り捨て、老朽車両による故障頻発といった民間会社特有の負の面が出ないよう慎重に議論してもらいたいものだ。(ZUU online 編集部)

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