片づけを始めるなら寝室かお風呂場から

勝間氏がモノを減らし始めたのは、睡眠の重要性を説いた本を読んだことがきっかけだった。

「私たちは1日の3分の1を寝室で過ごします。その空間が心地よくないのは、人生を無駄にしている気がしますし、寝室が不衛生だと健康にも害を及ぼします。そこで、寝室から片づけることにしました。

寝室は、最初に手をつける場所としてお勧めです。それほど広くないうえに、『寝るための場所』という明確な目的があるため、寝るのに不要なものを捨てればよく、一時間ほどで片づけが終わります。それだけで1日の3分の1がハッピーになるので、片づけの効果も実感しやすいのです」

ここで大事なのは、一気に片づけようとしないこと。小さく始めるのが、片づけを無理なく続けるコツだという。

「浴室から始めるのもいいですね。使わないシャンプーや剃刀などを捨てるだけなので、20分もあれば十分です。間違っても物置から手をつけてはいけません。物置は最も厄介で、効果実感の低い場所です」

捨てられない人が陥る「いつか使うかも」の罠

収納破産状態から抜け出すために、勝間氏はまず「モノを捨てる」ことから始めた。捨てるときの基準は、「今使うモノだけを残し、使わないモノは捨てる」。これを徹底したのだ。

「数年間袖を通していない洋服はみな処分しました。靴も驚くほどありましたが、普段から履く10足ほどを残して処分。趣味の自転車は10台近くありましたが、普段使う3台以外は人に譲るなどして処分しました。

クリスマスツリーなど季節もの以外で、2カ月使っていないモノは捨てる。この判断基準を徹底した結果、以前の2割くらいにモノを減らすことができました。モノが減れば、収納の仕方はあまり問題ではありません」

そうはいっても、「いつか使うかもしれない」と思うと、なかなか捨てられないこともある。

「予備として置いておきたくなる、電源コードやAVタップなどが典型ですね。また、高価なデジカメなど昔高いお金を払って買ったモノも捨てられません。今は使っていないから自分にとっての価値はゼロですし、機能や性能も陳腐化しているので、市場価値もほぼゼロです。それなのに捨てられないのは、『過去にこれだけお金をかけたから』というコスト、すなわちサンク・コスト(埋没コスト)に縛られているからです。

でも、考えてみてください。古い機種を後生大事に持っているより、必要なときに買うほうが、使い勝手のいい最新機種が手に入ります。節約したいなら、中古で安く買ってもいいでしょう。電源コードなどの日用品を再調達するコストも非常に安いものです。『いつか使うかも』とモノを溜め込むほうが、本当に必要なモノを埋もれさせてしまい、結果的に管理する手間やコストが高くつくことになります。『いつか使うかも』と迷ったときは、自分の財布と相談して、『1万円以内で買い直せるモノは捨てる』と決めるといいと思います」