総合指標の点検

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◆李克強指数は急回復

まず、第2章で概観した景気指標のうち、電力消費量(工業)、鉄道貨物輸送量、銀行貸出残高(中長期)の3つを用いた「李克強指数(*2)」を確認して見る。鉄道貨物輸送量がマイナス幅を大幅に縮めたのを受けて、昨年秋を底に急回復してきた(図表-15)。貨物輸送手段の構造変化を勘案して、鉄道から道路に入れ替えた李克強指数(修正後)を見ても、今年2月を底に緩やかな回復傾向を示している。

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◆成長率に換算すれば6.9%を回復

次に、第2章で概観した景気指標を用いて実質成長率を推計して見る。これは工業生産、製造業PMI、非製造業PMIの3つを説明変数としてニッセイ基礎研究所で開発した回帰モデルを用いて推計したものである。その結果は、今年2月の前年同月比6.2%増を底に、10月には同6.7%増、11月には同6.9%増と、ここもとの経済成長率は緩やかな回復傾向を示している(図表-16)。

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◆景気評価点は「やや加速」に到達

最後に、第2章で概観した景気10指標を、それぞれ3ヵ月前と比べて上向きであれば“○=1点”、下向きであれば“×=0点”として集計した「景気評価点(3)」を確認して見る。5点が上向き下向きの分岐点となる。ここもとの推移を見ると、今年初めに輸出が落ち込むと、3月には中国政府主導でインフラ投資を加速させて失速を回避、その後6月に民間投資が落ち込むと7月には「民間投資関連政策の更なる推進に関する通知」を発表して失速を回避した。そして、11月には「やや加速」の領域に到達することとなった(図表-17)。

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2)李克強指数は、李克強首相が遼寧省党委員会書記だった2007年、景気実態を表す統計として、電力消費量(工業)、鉄道貨物輸送量、銀行貸出残高(中長期)の3つを重視したことに由来する。加重割合は様々あるが、ここでは3指標を均等に加重している。
(*3)景気評価点に関しては「 景気の動向を簡単に把握できないか? 」年金ストラテジー (Vol.219) September 2014を参照
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三尾幸吉郎(みお こうきちろう)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 上席研究員

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