ESG
(写真=PIXTA)

約130兆円もの運用資金を有し、世界最大の機関投資家とも称されているGPIF (年金積立金管理運用独立行政法人) だが、実は国連の定めたPRI (Principles for Responsible Investment=責任投資の原則) に署名し、それに則った投資を実践していることをご存じだろうか?

ESG投資が誕生した背景

PRIとは、国連の呼びかけに応じてノルウェー政府年金基金やカリフォルニア州職員退職年金基金 (カルパース) といった世界的な機関投資家などが起草に参画し、2006年に発足したものだ。

発足当時は証券化のスキームが駆使されて米国で不動産市場がバブルの域まで活況を呈していたように、金融がグローバル経済の強力なけん引役となってきた。しかしながら、とかく利益の追求ばかりに主眼が置かれがちで、「持続可能な発展(Sustainable development)」となりうるか否かという観点からの投資判断が欠如しがちであるとの指摘も出ていた。

そこで、社会や環境などへもきちんと配慮しながら「持続可能な発展」をめざす投資先を選び抜くことを提唱する目的で、PRIというガイドラインが設けられたわけである。案の定、その翌年には米国の住宅バブルは崩壊し、さらに2008年にはリーマンショックも発生して世界的な金融危機へと拡大していった。もっと早くからPRIが定められていたら、あの騒動を未然に防ぐか、あるいは軽微なダメージにとどめることも可能だったかもしれない。

では、具体的にPRIが説いているのはどのような投資なのか? 簡潔に言えば、ESGという尺度から投資先の取捨選択を行うことに大きな特徴がある。

ESG投資はどのような投資手法なのか?

ESGとは、Environment(環境)、Social (社会)、Governance(ガバナンス=統治)の頭文字をとったもの。従来はもっぱら財務や業績などの情報を手掛かりに投資先を選んできたが、これらの非財務情報も重視することで、世の中に真に貢献する投資先を厳選して収益を求めていく投資手法である。

それに先駆け、すでに日本でもCSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)やSRI(Socially Responsible Investment=社会的責任投資)といった観点からの投資が普及しつつある。ESGも非財務情報に着目する点はそれらと共通しているが、まったく同様の考え方とも言いがたい。

たとえば、SRIでは倫理観に基づいた選別が行われてきた経緯があるが、ESGはもっと純粋に「環境・社会・ガバナンス」という3つのキーワードで投資先を選別しているとも受け止められる。「これら3つを重視している投資先こそ、長期的に企業価値を大きく高めていけるはずだ」との発想に基づいていると一般的には理解されているのだ。

このうち、ガバナンスという言葉はまだ一般的に馴染みが薄いかもしれない。だが、東芝の不正会計処理事件が問題視されたように、コーポレートガバナンス (企業内統治) は今日の日本企業にとって大きな課題となっており、それを踏まえて昨年には上場企業に対する規範としてコーポレートガバナンスコードが制定されている。

ESGで用いられる主な投資アプローチ

ESGにおいて実際に用いられている主な手法としては、下記の5つが挙げられるだろう。

1. ネガティブスクリーニング
ESGの観点から問題視される企業を投資対象から除外する。

2. ポジティブスクリーニング
ESGの観点から高く評価できる企業を投資対象とする。

3. インテグレーション
財務指標などに基づく従来の企業分析に、 ESGの観点からの評価も加味する。

4. エンゲージメント
対話や議決権の行使などによって企業に ESGへの積極的な取り組みを促す。

5. インパクト投資
社会性の高いプロジェクトに参画やファイナンスの受け入れなどを通じて、ダイレクトに社会問題や環境問題の解決を図る。

こうして主要な機関投資家の間でESGに対する注目度が高まっているだけに、その尺度に基づいて選ばれた企業は相応の成長性を期待できそうだ。そしておのずと、株式市場においても人気を集めやすい存在となってくるかもしれない。(提供: 大和ネクスト銀行

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