世界市場と第二位の市場日本

1961年の国民皆保険制度,73年の老人医療費の無料化など、日本は福祉政策の拡充により、日本の医薬品業界はいまやアメリカに次ぐ世界第二位の市場規模です。 J &J は日本国内の企業が太刀打ちできないほどの資本力と製品開発力を持っておりますし、年間6兆円という米国に次ぐ医薬品市場ですから、日本は,欧米の製薬会社から見れば、最高の魅力マーケットであることは確かな事実です。スイスのノバルティスファーマ・フランスのサノフィサンテラボもチャンスを伺っていますし、グラクソ・スミスクライン・アストラゼネカといったところも日本のメーカーを狙っていると言われております。

成長と拡大を続けてきた J &J は1886年の創業以来、世界中の医療ニーズに応え成長してきましたが、合併や吸収・新会社の設立を通じ、今や世界最大の総合ヘルスケア企業になりました。128年前にスタート、世界60カ国に275もの事業会社を展開し11万4000人の従業員を抱える多国籍企業です。毎日どこかの国の数億人という患者がその製品の恩恵を受けております。

また、 J &J の大きな魅力は、新製品の総売上高に占める割合が約25%に達していることで、この比率は長期間維持されていることです。長期的視野で研究・開発した成果ですが、実は一般に薬の研究・開発に要する期間は数年から数十年と言われておりますので、 J &J の研究・開発への投資は将来に対する投資であったことが分ります。数字で示すならば、研究・開発費は総売上高の約11.4%ですので2012年度実績で約76億ドルとなっており、医療業界に限らず全ての産業の中でもトップクラスの投資額と言えます。

新薬の開発は通常約150億円かかる

先にも触れましたが、新薬開発は資金も豊富にかかりますし、そこまで力を注いだとしても,必ず成功するとは限りません。コスト回収には世界各国に販売網が必要になります。売上の25%を新薬で揚げる会社はめっにありませんし、新薬を世に送り出すまでには,基礎研究を始め、何段階ものステップがあり10年以上は当り前の世界ですし、新薬(自社品)として市場に出る確率は、5000分の1〜10000分の1ともいわれる驚くべき世界です。 J &J には、人材・資金・組織・教育の4つを軸があり、組織的に実践に移すための資金は豊富です。その資金を増やすための手っ取り早い手段としてのM&Aに継続して力をいれております。

今後も進歩発展に自信

今後の展望を見ますと、2009年にアイルランドの製薬会社エランに10億ドルを支払いアルツハイマー免疫プログラムの全ての権利を取得しております。また、バーテックス・ファーマシューティカルズとの契約ではC型肝炎治療薬「テラプレビル」を米国以外の一定の地域で販売する権利を得ております。同社の現在開発中の製品には、ウィルス性疾患や がんにおけるMDR (多剤耐性)、炎症性疾患、自己免疫疾患、および神経変性疾患など の治療に向けた薬剤があり、益々 J &J との親密度は増していくものと思われます。

ポートフォリオ戦略(収益性や成長性の低い事業から、より収益や成長が期待できる事業へ資源を移す戦略です)に基づき企業の買収・分離・売却をおこなってきておりますが、利益追求のみの売買ではなく、 J &J が手掛ける価値がある事業かどうかという哲学に基づいての行動なのです。消費者製品部門である、バンドエイド、ベビーオイル、バイシン、リステリン、ニュートロジーナなど幅広い製品拡大にも積極的に力を入れてますし、他社との戦略の違いを見せております。信用格付けでも米国債よりも高いトリプルAを受けている上場企業(4社しかない)の中にも J &J 入っていることは今後も楽しみな魅力的企業であることは間違いありません。 グループ全体における研究開発費の占める割合は、総売上高の約11%にも達する。金額に換算すると、2010年度実績で約68億ドルにも上る。ヘルスケアビジネスのみならず、すべての産業の中でもトップクラスの投資額だという。

新製品の総売上高に占める割合も約25%に達しており、この比率は長期間にわたり維持している。これはジョンソン・エンド・ジョンソンがアンメットニーズに基づき、製品開発を継続的に行ってきたからにほかならない。