i-Construction,建設業界,IoT
(写真=PIXTA)

人口知能(AI)やモノのインターネットIoTが産業界に革命をもたらし、その存在感は製造業などを中心にますます高まっている。イノベーションの波は建設現場にも及び、その生産性向上に向けた「i-Construction(アイコンストラクション)」という取り組みが国土交通省を中心として進む。

3次元データのフル活用で作業効率アップ

「i-Construction」という言葉を初めて耳にする人も多いかもしれないが、国交省はその推進に向けて2015年に委員会を立ち上げて準備に取り掛かってきた。主な取り組みとしては、ICT(情報通信技術)の全面的な活用と規格の標準化、施工時期の平準化の3つの柱を中心に据えている。

これらを促進することで、生産性の向上による企業の経営環境の改善、建設労働者の賃金水準アップ、建設現場での死亡事故防止に繋がることが期待される。また、3K(きつい、危険、きたない)労働とも揶揄される建設業界の労働を、イノベーションの促進により、給与、休暇、希望の新しい3Kを目指すとしている。

中心となる取り組みをそれぞれ見ていくと、まずICT技術の活用により、土工での測量、設計、施工、検査の各段階において、従来の紙ベースの図面を中心とした作業から3次元データに基づいた作業に切り替える。例えば測量については、測量士が現場を訪れて計測の作業に当たっているものを、ドローンなどを利用した写真測量を導入することで、短時間で3次元の測量を実現させる。

この3次元の測量データを基に、切り土や盛り土などの施工量を自動算出して設計をまとめ、設計データをICT建設機械と通信して施工にあたる。工事が終了した後の検査では、ドローンの活用により出来形の書類が不要となるため、検査項目が半減し、検査にかかる手間ひまが省けるという。

2つめの規格の標準化では、現状では現場毎に鉄筋や型枠の寸法が変わるため、作業の手間が増大し、効率がなかなかアップしないことが課題だ。そこで、鉄筋をあらかじめ工場などで製作し、組み立てるプレハブ化を進めるとともに、コンクリート部材のサイズを標準化し、定型部材を工場で生産し、現場で組み合わせるプレキャスト化を導入。

これにより、プレハブ化された鉄筋をクレーンで設置することで、鉄筋を組み立てるために高所で作業する必要がなくなり、事故のリスクが減少するほか、コンクリート部材があらかじめ作られているため、現場でコンクリートを固めるために型枠を設置したり、脱型したりする作業が不要となり、作業効率がアップする。

また、施工時期の平準化を取り組みの柱の1つとして挙げるのは、建設現場の事業の多くが単年度予算となっているため、年度末に工事が集中して繁忙期となる一方、4月は閑散期を迎え、仕事にありつけない労働者があふれるからだ。

この現状を是正するために、工事計画を単年度から複数年にまたいで実施したり、年度末に実施する工事を変更する際に、繰り越し制度を活用したりする取り組みを方針として掲げている。これにより、労働者は年間を通して収入が安定することが望めるほか、企業にとってもピーク時の作業を想定して機械を保有する必要がなくなり、機械の維持コスト削減につながるとみられる。

人材不足に朗報、ICT精通した人材育成が急務

国交省は16年を「生産性革命元年」と位置付けて、i-Constructionを推進してきた。第1号の案件となったのは、北海道開発局の道央圏連絡道路千歳市泉郷改良工事と北陸地方整備局の宮古弱小堤防対策工事で、それぞれ16年5月に工事がスタート。施工にあたり、ドローンを使った測量が実施され、その測量結果の3次元データを活用してICT建機を導入して土工の作業が進んだ。国交省では、16年度内に400件を超えるi-Construction対応型の土工の工事公告を見込んでいる。

i-Constructionによる取り組みは、関連する企業にとっても新たなビジネスチャンスの到来だ。コマツ <6301> は、i-Constructionに対応したICTブルドーザー5機種、ICT油圧ショベル1機種を相次いで販売。同社は、これまではICT建設機械をレンタルで提供してきたが、i-Constructionの促進により、ICT建設機械の需要拡大を見越して販売に乗り出した。ブルドーザー、油圧ショベルともにインテリジェントマシンコントロールを実現し、前者は自動ブレード制御機能を搭載して作業効率のアップに貢献し、後者はバケット刃先の位置情報を施行データと照合しながらコントロール操作ができる。

人材不足に悩む建設現場にとってi-Constructionにより、少ない人手で作業の効率アップが期待でき追い風となる一方、こうしたICTを使いこなせる人材育成が喫急の課題と言えそうだ。(ZUU online 編集部)

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