ストレス,うつ病,職場復帰
(写真=Thinkstock/Getty Images)

うつ病になり休暇を取得した大企業の社員のうち、5年以内に再発して休暇を再取得した人は47.1%に昇る--。

これは厚生労働省研究班の調査によるもので、復職後1年以内の休暇再取得割合は28.3%、2年以内で37.7%だそうだ。

「うつ病は繰り返す」と言われるがうなずける実態だ。

厚労省の別の統計によると、メンタルヘルス不調による休業者がいる事業所のうち、「復帰したものがいる」事業所は全体の51.1%とされている。こちらは事業所数のため、単純に比較はできないが、やはり現状、うつ病は繰り返されると言わざるを得ない。

うつ病になる人には2つのタイプがある

心理カウンセラーとして休職者の職場復帰をサポートしていると、うつ病が繰り返される原因は休職者本人と職場、双方の「焦りと甘さ」にあるように思える。

仕事でうつ病になる人は2種類で、「働きすぎタイプ」と「ストレスを感じやすい考え方を持つタイプ」だ。

野球の投手に例えると、前者は肩肘などにあまり負担のかからない綺麗なフォームながら、酷使や打球を受けるなどで怪我をしたケース。後者は強い負荷のかかる危険なフォームでプレーし続けた結果、怪我したというケースに当たるだろう。

当然、復帰までのプロセスも異なり、前者は怪我が癒え、リハビリで以前と同様に動けるようになれば復帰だろう。あとは酷使しないよう多少配慮すれば問題ない。問題の場合だ。怪我が癒えても、そのまま復帰すれば高い確率で再発することは容易に想像できる。今後怪我なくプレーするには、より体への負荷の少ないフォームに変えることが必須である。

このフォームに当たるものが、「認知」と呼ばれる考え方・生き方の“癖”である。

ただの「働きすぎタイプ」は基本的に認知の面では問題が無い。しっかり休み、体力と気力が回復すれば、酷使されない限り再発はさほど心配しなくて平気だろう。うつ病を繰り返しやすいのは圧倒的に後者である。心に負担をかける認知の代表は、完璧主義や「どうせ自分なんか」という過小評価、「いつか嫌われるのでは」という思い込みなどだが、これらを改善しなければ、周囲の評価を気にするあまり再び無理をし、結果再発してしまうのだ。

うつ病を再発させる、焦りと甘さ

認知は“癖”なので、改善にもまた時間がかかる。心の負担が少ないところでより良い考え方を意識しながら行動する。意識せず自然に出来るようになれば、少しだけ負担を増やして再度意識して実践、慣れたらさらに少し負担を増やして……こうしたプロセスを重ねて改善しなければならない。

しかし、ここで本人に「焦りと甘さ」が出てしまう。うつ病になる方の多くは真面目だ。仕事を休んで迷惑をかけた分、はやく元気になって恩返ししなければと焦る。

さらに負担の少ない仕事でより良い認知に慣れると、「もう大丈夫」という甘い錯覚を起こし、急に休職前の仕事に完全復帰してしまう。だがこれは、2軍で新フォームを数イニング試しただけで、1軍でバリバリやれると考えるのと同じ。思うように仕事をこなせず自信を失うか、仕事をこなそうとかつての認知に戻るか。どちらにしろ、心はストレスを溜め込んでしまう。

復職の歩みは想定以上にゆるやかであれ

一方、職場にも焦りはある。さすがに復帰を急かす企業は少なくなってきているが、休職者の仕事を残った人間が負担しているのだ。言葉に出さなくとも、「早く復帰してくれたら」との焦りが、言動の端々に出やすくなる。そこにリハビリ勤務で問題なく仕事をする復職者の姿を見れば、どうしても判断が甘くなり、復帰した人間との面談が疎かになったり、仕事量を急速に戻してしまったりという事態が起きる。

復職者も職場も、悪気はない。双方とも復職が上手くいくことを望んでいるのだ。ただ、認知の変化は想像以上に遅いことを知らないため、完全復帰への見通しが楽観的になり、再発を起こしてしまうのである。

認知の変化は「365歩のマーチ」のごとく、「3歩進んで2歩下がる」もの。職場はこのことを念頭に年単位での緩やかな復帰計画を立て、完全復帰後も定期的にカウンセリングを受けさせるなど細やかなアフターケアを行なうことが、うつ病の再発防止にとって必須と言えよう。今一度、どのような体制をとっているか、見直して欲しい。(藤田大介 DF心理相談所 代表心理カウンセラー)

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