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(写真=PIXTA)

確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までに得たすべての所得を計算し、申告・納税する手続きのことをいう。人によっては、あらかじめ徴収されていた税金が還付されることもある。個人投資家の場合は、確定申告が必要な場合と、必要ではないが確定申告した方がお得な場合がある。それぞれのケースをみてみよう。

確定申告する必要があるのはどんな人 ?

確定申告が必要な個人投資家はどのような人なのだろうか。NISAのみを利用している個人投資家の場合は、確定申告が不要となる。NISAとは、一定期間、譲渡益や配当に対する税金が非課税となる優遇制度である。このため、運用によって利益が出ても課税されることはない。一方で、損失が出たとしても損失を繰り越すことができないことに加え、NISA以外の口座との損益通算ができない。

また、源泉徴収ありの特定口座で取引をしている個人投資家も確定申告が不要である。証券口座には、証券会社が損益の状況を計算し、年間取引明細書を作成してくれる特定口座があるのだ。この口座で、源泉徴収がある制度を利用する場合、利益に応じて税金が徴収され、証券会社が納めてくれる。このような口座を利用していれば、自動的に税金を納めていることになるため、例外的に他の口座と譲渡損失を相殺する場合や繰り越し控除をする場合を除き、原則として改めて確定申告をする必要はない。

確定申告が必要な個人投資家

上記のような例外を除いて、まず個人投資家で確定申告が必要な場合は、一般口座を利用している人と、源泉徴収なしの特定口座を利用している人で、年間譲渡益がでている場合だ。

<譲渡損+譲渡益がプラス>
株式を売却 (譲渡) し、これにより利益が出た場合を譲渡益、損失が出た場合を譲渡損という。それぞれを足し合わせ、譲渡益が譲渡損を上回れば、利益に応じて税金を納める。一般口座の場合は、証券会社の口座に記録されている売買履歴である取引明細をもとに、自分で「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」を作成する必要がある。記載内容は、取得費や収入金額などである。また、源泉徴収なしの特定口座で取引している人も確定申告が必要だが、年間取引報告書が証券会社から発行されることになる。これを用いて確定申告を行うことになる。

しかし、確定申告が必要ではない「源泉徴収ありの特定口座を利用している人」も、確定申告した方がお得な場合もある。よくある2つのケースを確認していこう。

<年間で譲渡損がでているが配当金に課税されている場合>
上場株式などの配当金は配当所得として課税されることになる。年間で譲渡損がでている場合は、確定申告することによって、配当金に課税されていた税金が還付されることがある。なお、上場株式等に係る配当所得が課税されるのは申告分離課税を選択した場合に限る。

<繰越控除を利用したい場合>
繰越控除とは、株式の売却により譲渡損が出た場合、翌年以後3年間にわたってその損失について繰越控除を受けることができる制度である。この制度は適用を受けるにあたり確定申告が必要となる。そのため、本来は確定申告が不要な場合であっても、繰越控除を適用したい場合は確定申告をする必要がある。また、「源泉徴収なしを利用していて年間譲渡損がでている人」もこの繰越控除を利用できる。

自分は確定申告が必要か、必ず必要でなくとも確定申告した方がお得なのか、判断が難しい場合もあるだろう。その際は、証券会社の窓口や、税理士にしっかりと確認することをおすすめしたい。

資産管理と確定申告

個人投資家に対しては、株式で得た利益に基づいて所得税や住民税が徴収されることになる。納税義務が生じる場合もあるため、確定申告をする必要があるかどうかを確認しておくことが大切だ。また2016年より年末調整書類にマイナンバーを記載することとなった。証券会社からもマイナンバーの通知が求められているだろう。そのため株式で利益を得ているにもかかわらず、必要な確定申告をしないと、意図しない申告漏れが発生してしまう。確定申告が必要な場合は、きちんと管理して申告するようにしたいものである。(提供: 大和ネクスト銀行

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