LINE,LINE WORKS
(画像=Webサイトより)

2月2日にLINEとワークスモバイルジャパンが発表した「LINE WORKS」は、LINEが提供するビジネスツールである。ここではサービスの概要と競合サービスとの比較、想定される今後の展開について紹介する。

「シャドーIT」への対策として打ち出されるLINE WORKS

LINE WORKSは、ビジネス向けのチャットツールを中心としたアプリであり、チャットや掲示板、アドレス帳などのベーシックなプランであれば1ユーザに付き月額300円(年額プランの場合)から利用可能である。

LINEにはもともとビジネスで使用するための有料プランが存在し、またLINEの子会社でもあるワークスモバイルジャパンも「Works Mobile」というビジネスチャットツールを提供しており、LINE WORKSはこの二つを統合した形での提供となる。チャットツールは手軽にユーザ間で文字情報や画像などをやりとりできるものとして、スマートフォンではかなり使われている。

これをビジネスに使用するという利点としては、メールとは違い社内だけのメンバーで使用可能で、情報共有が容易にできるという点がある。LINEの場合は個人で使う範囲では無料で利用できるが、これを社内のビジネス用に転用するということも実際に行われている。この場合、問題となっていたのがセキュリティの問題である。

企業内で使用されているIT機器以外のITサービスを「シャドーIT」と呼ぶ。先述のLINEをビジネスに転用するというケースは、まさにシャドーITと言える。個人端末に営業時間外でも業務メッセージが届くなどの問題に合わせ、企業内IT管理外の機器による情報漏えいなどの問題もあり、IT管理者からすれば頭の痛い問題である。今回のLINE WORKSは、シャドーITへの対策の一つとして大きく広報されている。

つまり、ユーザがプライベートで使っているものを切り離し、ビジネスとして使用することを推進することにより、ビジネスチャットその他のグループウェアツールの有用性を安全に享受しようという事である。

LINE WORKSでは個人用と仕事用を完全に切り離すことが可能であり、ユーザ側の抵抗も少ないことが予想され、「便利なものなら何でも使いたい」と考えるユーザと、「管理できないものは使わせたくない」と考えるIT管理者のどちらにも有益であるとうたっている。

他の同様サービスと比較すると入りやすい入口

同様のビジネスチャットツールは多数存在し、そのどれもがタイムラインが一目で確認でき、どれが既読かを判断できるというものである。つまり「LINEに近い」使い勝手をアピールし、敷居の低さをセールスポイントとして、課金形態も(無料使用可能な範囲も含めて)似通ったサービスが多い。

これらに比べるとLINE WORKSは言わば「本家」であり、既にLINEをプライベートで使っているユーザにとっては、他のツールと比較して入りやすいと言える。またセキュリティ面では、IT管理者による各種一元管理が可能であり、コンプライアンスという意味でも有益に働く。

もちろん他のサービスも同様の内容になってはいるが、LINE WORKSの場合は知名度が高いため、「まずそのサービスが存在することを知ってもらうことが重要」なクラウドサービスにおいては圧倒的に有利と言える。

「LINEを使う=ビジネスで使う」というイメージを作れるかが問題

LINEは広く普及したチャットツールのため、多くの問題に直面している。子供の間で起こっているLINEいじめや、設定が不完全な場合のセキュリティ面の問題が指摘されている。これに関しては、2014年に起こったアカウント乗っ取り事件時のユーザ対応のまずさを指摘する声もある。

またLINEという企業が韓国に起源を持ち、LINEで使われるデータセンターが日本国内に無いのではないかという懸念も囁かれている(もっとも、クラウドサービスを提供する企業が、自社のデータセンターの場所を明言することは少ない)。

さらにLINEにはキャッチーなキャラクターによるスタンプがあり、スタンプそのものを販売するなどキャラクタービジネスとしても成立している面も持っているが、これがビジネス向けとして使うのには不適当ではないかと判断される事も考えられる。

これに対しLINE WORKSでは「データセンターは日本国内に設置」「スタンプはプリインストールされたものしか使えない」などを明言している。実際には、ミズノやキャリアデザインセンターなどの企業が導入を表明しているため、立ち上がりとしてはまずまずと言える。

BtoBならではの責任をLINEが負えるかが重要

今後は、一部のユーザに根強く残るLINEに対する様々なイメージを、充実したサポート体制の構築などにより「ビジネスでも使えるLINE」というイメージへと変えていくことが必要となるだろう。

そうなった場合、海外に本社があり使用するシステムが規定されている企業など除けば、知名度のあるLINE が提供するLINE WORKSが市場を圧倒する可能性も考えられるだろう。その為には、まずLINE自身が「高品質なBtoBサービスを提供できる企業である」という評価を得る努力を怠らないことが重要となる。(信濃兼好、メガリスITアライアンス ITコンサルタント)

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