三菱ケミカルホールディングスの健康医療サービス

三菱ケミカルホールディングスは、4月に「生命科学インスティテュート(LSI)」を設立し、相乗効果を狙い、三菱化学メディエンス、APIコーポレーション、健康ライフコンパス、クオリカプスの4社を傘下にし、創薬や製薬以外の健康や医療などのヘルスケア事業を総合的に展開していこうとしています。現状、1,200億円程度の売り上げを平成32年までには5,000億円にまで引き上げることを目標に据えています。三菱ケミカルホールディングスは田辺三菱製薬という製薬会社も傘下にありますが、LSIでは、ITを利用した遠隔医療や予防治療などの健康医療サービスを行っていく予定です。大陽日酸を買収し、売上高では4兆円を超え、シェールガスへも積極的に参戦している三菱ケミカルホールディングスですが、すでにその先の稼ぎ頭を育てていると言えるでしょう。


カネカのライフサイエンス

カネカはカネボウから分離独立した総合化学メーカーです。塩ビ・ソーダから出発し樹脂、高分子・発酵で多角的に製品を構成しています。現在では医薬・食品素材が収益の柱となっています。消費者にはなかなか馴染みを感じない会社ですが、食品に含まれていたり、様々なものの素材に含まれていたりするものを作っている企業です。カネカではライフサイエンス事業としてカテーテルや血液浄化システム、機能性食品素材、医薬品原薬・中間体、バイオ医薬などを手掛けています。なお、1977年よりカネカが作るCoQ10素材が多くの国のサプリメントメーカーや化粧品メーカーなどで取り扱われており、CoQ10において世界のトップメーカーとして君臨しています。


投資指標では出遅れ感もあり!?

さて、今回、総合化学企業として旭化成、三菱ケミカルホールディングス、カネカの3社をヘルスケアという視点で見てきました。この3社に共通して言えることは、現状では業績も良く、安定した収益が稼げているにも関わらず、ヘルスケア分野に積極的に進出しているということです。

それだけ、石油化学分野には危機感があり、また、市場の拡大が見込めるヘルスケア分野が魅力的であると言えます。さて、投資の視点から見てみると平成26年6月23日終値時点で旭化成の予想PER12.31倍/PBR1.21倍、三菱ケミカルホールディングスの予想PER17.86倍/実績PBR0.74倍、カネカの予想PER13.07倍/実績PBR0.78倍となっています(SBI証券調べ)。特に三菱ケミカルホールディングスとカネカはPBR1倍を大きく下回っており、まだまだ割安感が残っていると言えます。相場全体が堅調な動きを見せてきた中で、ヘルスケア分野の伸びに期待しつつ、中長期で注目してみるのも面白いのではないでしょうか。

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