今年(2013年)3月にも日本への輸出が解禁される事になり、シェール革命に関連する話題はますます盛り上がりを見せています。
今回は、前回のシェール革命の動向と予測vol1〜主要各国への影響を比較してみた〜に続き、シェール革命によって大きな影響を受ける産業についてのまとめをお届けします。
参考:各雑誌2013年予測特集の要点まとめ【主要産業編】
シェール革命の動向と予測vol3〜注目10銘柄+おまけ〜
◉関連産業へのシェール革命の影響のまとめ
◯シェールを開発する資源産業
もともと、シェール資源は1970年代の石油危機以降から注目が集まっていたのですが、高い採掘コストが壁となって存在していました。そして技術開発により、その壁を打破したのは石油メジャー等ではなく、米国の中小の独立系石油・資源会社です。当初、石油メジャーらは北米大陸内の資源にあまり期待をしていなかったため、メジャーがシェール資源に取組んだのは2010年近くになってからです。
米国でのシェール資源の開発は、中小の独立系開発会社によって行われたのです。
ただ、そんなメジャーも現在はシェールの開発に活発に取組んでいます。出遅れているとはいえ、豊富な資金力を背景にシェールガス等のLNG(液化天然ガス)化を中心に取組み、この分野での存在感を伸ばそうとしきています。
(米国から海外へ輸送するには液化が必須であるため、ガス資源のLNG化プラントは重要な設備となります。)
また、日本国内でも、住友商事や三井物産、三菱商事等の大手商社を中心に、権益確保の為の投資の動きが活性化してきています。
(2010年から2012年の間で、日本の商社が北米に投資した額と今後の開発費の合計は2兆円超もあります。)
◯化学、素材産業
米国エネルギー情報局(EIA)の情報によれば、米化学業界は米国での天然ガスの使用用途の13%程度を占め、最大級の顧客です。そして、シェール革命により米国産の天然ガスの価格が大幅に下落した事から、米化学業界は大きくその競争力を取り戻しています。
結果、米国では新規の化学プラントが建設されており、2016年、2017年頃に相次いで稼働する見込みとなっています。
◯電力などエネルギー関連産業
米国では天然ガスの価格の低下に加えて、環境保護庁により環境規制の強化が続いているため、火力発電での天然ガスの使用がより加速するものと思われます。
(天然ガスによる火力発電は、石油や石炭による火力発電より環境負荷が少ないとされているため)
また、米国エネルギー情報局(EIA)による、「米国は2017年までに、少なくとも毎年5ギガワットのペースでガス電力の導入量が増加する」という見通しまである程です。
ただ、このようなガスによる火力発電の発展は、進みつつある太陽光発や風力発電等のクリーンエネルギーに発展に対して、冷や水となる可能性が懸念されています。