◯採掘、また化学業界に係るプラント産業

石油化学及び化学関連セクターで新規のプラント建設や既存プラントの拡張が行われることで、関連プラントメーカーや関連設備メーカーの事業機会を生んでいます。

また化学産業関連だけではなく、シェールの開発(採掘)プラントの建設には、制御機器や熱交換器、排水処理等の環境設備等の様々な需要があり、これも関連メーカの事業機会となっています。

◯LNG化プラントやLNG船舶等の資源の輸送産業

ガス資源は、陸続きの輸送であればパイプラインを敷いて輸送をすることが可能です。しかし海上を跨いで輸送をする場合は、LNG(液化天然ガス)化して、船舶にて運ぶ必要があります。
米国から日本に向けてのシェールガスの輸出も始まる予定であり、また、世界的にLNGの生産と海上輸送は拡大が予測されるため、LNG化プラントやLNGの輸送船舶への需要も拡大が予測されます。

ちなみに、海運業界は日本国内の産業分類別では最も生涯賃金の高い業界なのですが、今後の見通しも比較的明るいと言えそうですね。

参考:日本人の給与ってどんなもん?vol2〜業界対抗&業界別ランキング〜

◯水処理ビジネス等の環境産業

非常に注目を集めているシェール革命ですが、採掘時に多量の水や化学薬品等を使用することから、環境への悪影響等も懸念されています。フランスをはじめとした欧州では、採掘時の環境破壊を理由に、国内のシェール資源の開発を規制している国も存在します。そしてシェール革命の中心地である米国でも、環境への関心は日々高まっており、高度なレベルの浄水・排水設備等の需要の拡大が予測されます。

なお、ウォータービジネスジャーナル誌によれば、シェール開発に伴う水処理市場は、2020年までに90億ドルに増加するという意見まであるとの事です。

◯バイオエタノールや穀物関連産業

最後は直接のシェール関連産業ではないのですが、間接的に大きな影響を受けると言われている、バイオエタノールや穀物関連産業について触れたいと思います。

バイオエタノールは再生可能エネルギーの一つであり、トウモロコシ等の穀物から生産され、ガソリン等の他の燃料に混合して使われます。自動車大国である米国において最もその利用が盛んであり、米国で生産されるトウモロコシの約4割がバイオエタノールに精製されます。
米国におけるバイオエタノールの活用は、2005年頃から政策も整備され活発になりました。そして新興国における需要の拡大等の様々な要因とも重なって、穀物価格の値段上昇の一因となっています。

しかし、実は、このバイオエタノールは補助金により石油並みの値段で販売されていますが、本来は非常にコストの高い資源です。そのため価格が安く、(石油やガソリンに比較すれば)燃焼時の環境負荷が少ないシェールガスにより、バイオエタノールの利用が置き換えられる可能性も存在します。
そうなればトウモロコシ価格の下落要因となり、またその場合はトウモロコシから大豆や小麦への転作が進む可能性も高いことから、穀物全般の価格下落圧力が働く可能性も存在します。
(今後新興国での穀物需要拡大という大きな価格上昇圧力が控えてもいますが、、。)

以上、シェール革命による各種産業への影響のまとめをお届けしました。
次回以降は具体的な関連銘柄の紹介や、日本への影響等についてまとめをお届けしたいと思います。

BY TOMB