アクセンチュア,ロボアド,調査
(写真= Zapp2Photo / Shutterstock.com)

アクセンチュアが日本を含めた世界18カ国、約3万3000人を対象に、ロボアドバイザーを利用するかどうかを調べたところ、10人中7人が「積極的に利用したい」と回答していることが分かった。

ただ金融サービスについて対面での対応を求める声は依然強く、特にクレーム対応(68%)、住宅ローン(61%)など複雑な商品対応がそうだ。銀行、保険、その他投資など、金融業界は、日本を含めて従来型の対面サービスとの融合やロボアドバイザーの充実が大きな課題となっている。

「フィジタル」な戦略への切り替え必要

アクセンチュア金融サービス部門シニアマネジングディレクターのP・ゲーラ氏は、「金融機関は、ロボ提供でコスト削減が期待できる。一方、消費者は温かい対面対応も求めている。金融機関は消費者に、より魅力的な選択肢を提供しなければならない。その1つがテクノロジー、ネットワーク、スタッフを統合する『フィジタル』(フィジカル機能とデジタル機能の融合)な戦略が必要になる」と、指摘している。

消費者がロボアドバイザーを望む主たる理由は、サービスの迅速化(39%)と低価格化(31%)、AIによる偏らず公平で分析的なアドバイス提供(26%)など。調査によると、インドネシア(92%)、タイ(90%)、ブラジル(86%)など、新興市場で特に関心が高かった。逆にカナダ(56%)、ドイツ(59%)オーストラリア(61%)など、需要の低い国でも、過半数の消費者がロボ利用に肯定的だった。

銀行などに求められるサービスのパーソナライゼーション

注目されるのは、3分の1の消費者が銀行サービス(31%)、保健サービス(29%)、ファイナンシャル・アドバイス(38%)の提供元を、従来の金融サービス以外のGoogle、Amazon、Facebookに切り替えるかもしれないと回答していることである。さらにスーパーマーケットなど小売業者への切り替えることを検討中の消費者も同じ割合で存在する。これは銀行など金融サービスに大きな脅威であり、対策が求められる調査結果だ。

また、興味のある回答がある。消費者は、これまで以上に低料金で迅速な金融サービスというメリットと引き替えに、個人データを金融サービス事業者と共有することに肯定的なことが分かった。資産管理のアドバイスには、データの開示で対応する(73%)という高い数値である。消費者(48%)は、「住宅、車などの商品購入のサポート」あるいは「それら購入に関連するサービス(保険商品、購入手続き支援など)」を求めている。

金融サービス業者に対しては、顧客の位置データ、購入価格帯、その他個人特有の嗜好をこれまで以上に開示することを基に、有益な情報をパーソナライズして提供して欲しいという要望が高まっているわけだ。消費者は個人情報を貨幣化して、個人情報へのアクセスを許可することで、サービスの充実、パーソナライゼーションを望んでいる。

AI商品の進歩は日進月歩 金融サービス業者の対応は?

21世紀に入って、欧米でまず始まったロボアドバイザーは、「ウェルスナビ」「THEO(テオ)」「エイト証券の8NOW!」などいくつかある。例えば、「ウェルスナビ」は最短1分、全6問の無料診断をスローガンにして、リスク許容度を診断する。あっという間に、診断結果に応じた最適なポートフォリオ(金融資産の組み合わせ)が提案される。国内には多数のロボアドバイザーがある。ロボが示す資産配分で、実際に投資を行う方法は、(1)投資家が自らファンドなどを購入する(2)投資を一任する――の2つに大別される。

ロボアドバイザーはAI商品だから、技術的にも日進月歩で進歩することは間違いなく、金融サービス業者は消費者の希望に細心の心を配り、サービスの向上を図るか、それともAI商品にほぼすべて任せるかどうかの岐路に立たされるかもしれない。( FinTech online編集部

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