日本の大手銀行の預貸率が、主要国の銀行の平均を大きく下回っていることが判明した。

国際大手20銀行の中では、預貸率60%の三井住友銀行が最低水準となった。また中国大手もトップ10の半数を占めている。

預貸率とは銀行の「預金に対する融資の比率」のことで、経営の健全性をはかる指標として知られる。預金以上の貸し出しをして100%を超えることをオーバーローンという。東京商工リサーチによると、国内銀行114行の2016年9月中間単独決算ベースの預貸率は67.34%。

一般的に預貸率が程よい高さであれば民間企業に資金が循環し、経済が活性化していると見なされ、逆に低すぎると「集めたお金をあまり融資していない(できていない)」ことから経済が低迷しているということになる。

基準値を上回る銀行はたったの2割

香港の戦略コンサルティング会社クインラン・アンド・アソシエイツが調査したもの。預貸率グラフは2015年12月のデータに基づき、トムソン・ロイター・アイコンとクインランが共同で作成した。

調査の対象となった国際銀行20社の平均は80%。つまり多くの銀行の融資額が貯蓄額を下回っていることを指す。基準値となる100%を上回っているのは、豪コモンウェルス銀行を含む4銀行のみだ。

2008年の世界金融危機が預貸率低下の引き金となったといわれている。特に米国では銀行の信用力が低下していたところへ低金利政策が追いうちをかけ、企業への融資が一気に落ちこんだとの見方もある。

日大手銀行は海外M&Aの融資事業強化

日本は1990年代のバブル崩壊を機に銀行の貸し渋りが始まり、2003年以降預貸率が100%をきっている。アベノミクス効果で銀行貸出が増加したなどといわれているが、信用力の低い民間企業への融資は低迷するなど偏りが見られる。また全国銀行協会の資料によると、預金量がそれを上回る勢いで増加しているため、結果的には下落率が加速している。

貸出が鈍れば預貸率をさらに引きさげることになる。日本の3大銀行(BTMU、SMFG、みずほ)が低預貸率ランキングの上位を独占しているのも不自然ではないだろう。実際、2012には3社合わせて総額3030億ドル(約34兆7571億円)だった融資が、2015年には1990億ドル(約22兆8272億円)まで減っている。

各銀行の貯蓄総額だけを比較してみると、BTMUは1兆5330億ドル(約175兆8504億円)で15社中5位。SMFGは1兆1100億ドル(約126兆1480億円)、みずほは1兆440億ドル(約119兆7572億円)。対照的に高預貸率であるサンタンデール銀行は、貯蓄額では最下位の9200億ドル(約105兆5332億円)だ。

その一方で、日本3大銀行のローン・ポートフォリオ(貸出金融資産)は年々増加傾向にある。近年、日本の大手銀行は海外M&Aの融資事業を強化しており、2015年には最高水準となる市場の6割を独占。2014年から1.5割増となった。

BTMU、SMFG、みずほのCAGR(年平均成長率)は、2011年から2015年にかけて20%以上の伸びを記録。 域外融資の割合は、ローン・ポートフォリオの3分の1を占めるまでに成長している。

預貸率が低い大手銀行20行

20位 コモンウェルス銀行(豪)123%
19位 ロイズ銀行(英)114%
17位 ING銀行(蘭)101位
17位 ウニ銀行(伊)101%
16位 バークレイズ銀行(英)96%
15位 サンタンデール銀行(スペイン)95%
14位 ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド/RBS(英)89%
13位 BNPパリバ銀行(仏)80%
11位 バンク・オブ・アメリカ/BoA(米)75%
11位 ウリ銀行(韓)75%

10位 中国建設銀行(中)70%
9位 シティ(米)68%
8位 中国銀行(中)67%
6位 中国工商銀行(中)66%
6位 三菱東京UFJ銀行(日)66%
5位 JPモルガン・チェース(米)65%
4位 みずほ銀行(日)63%
3位 中国農業銀行(中)62%
2位 交通銀行(中)61%
1位 三井住友銀行(日)60%

(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

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