カナダの管区警察局が3月10日、ビットコインを悪用したポンジ・スキームに警戒を呼びかけるという異例の事態が発生した。

犯罪者は偽求人広告などで被害者をおびき寄せ、不渡り小切手を送付しビットコインの代理購入を依頼。被害者はビットコイン引き渡し後、初めて小切手が現金化できないと気づく。オンタリオ州南部ダラム地域の住民から、被害届が殺到しているという。

またポーランドでもビットコイン交換所「Bitcurex」のハッキング事件をめぐり、警察庁が動きだした。

ビットコインによる偽税金徴収も発生 ハッキングも加速

カナダ管区警察局は正式な被害件数などを公表していないものの、被害額はすでに何千ドル(約何十万円)に達していることから、被害拡大の防止策として住民への警告に踏みきった。カナダでは歳入庁をよそおい、ビットコインで税金を支払うよう求める詐欺行為も発生している。

仮想通貨によるポンジ・スキームでは、2015年に1億ドル(約113億3300万円)を超える訴訟問題に発展したGemcoinが記憶に新しい。USファイン・インベストメント・アーツ(USFIA)が中核となって犠牲者をだした大規模な暗号通貨詐欺で、3月13日、カリフォルニア州裁判所によって総額7400万ドル(約83億8642万円)の罰金刑がくだった。

この事件ではUSFIAの設立者、スティーブ・チェンCEOのほか、当時現職であったアーケーディア市のジョン・ウオ元市長なども関与しているとされ、世間の注目を浴びた。

一方ポーランドでも警察を巻きこんだビットコイン犯罪が多発している。ハッキングが原因で突然一時サービス停止となったBitcurexの騒動をめぐり、ポーランド警察庁は調査に乗りだす意向を発表した。Bitcurexは2012年の設立以来、何度もハッキングの被害にあっている。

大型ハッキング事件といえば昨年6月にはコードの脆弱性をつかれ、5500万ドル(約62億3370万円)相当のETH(イーサ)を流出させた DAOの例もある。ビットコインに代表される仮想通貨が知名度をあげるほど、それを悪用した犯罪が脅威となりかねないという現状は非常に残念だ。( FinTech online編集部

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