オフィス空室率では競合に劣る

このようにオフィス賃貸、新規分譲住宅での強みを発揮する住友不動産ですが、既存オフィスの空室率という点では弱みがあります。図4は住友不動産、三井不動産、三菱地所、都心5区のオフィス空室率を比べたものです。

図4 住友不動産、三井不動産、三菱地所及び都心5区のオフィス空室率

住友不動産

三井不動産

三菱地所

都心5区

空室率(%)

5.9%

3.5%

5.3%

6.7%

出典:各社IR資料より筆者作成

見ての通り、住友不動産の空室率は三井不動産、三菱地所と比べて大きく、都心5区の平均に匹敵する数字です。なぜ住友不動産の空室率が高いのでしょうか?都心5区の空室率を区別に見てみると三菱地所が強い千代田区は5%台、三井不動産が強い中央区は6%台前半ですが、住友不動産が強い新宿区は8%台を超えています。(空室率は2014年3月現在)新宿区のオフィスの空室率が高いことが、住友不動産のオフィス空室率が高い要因です。


新宿区の空室率が高い理由

新宿区のオフィスビルの空室率が高い要因ですが、ビルの築年数が比較的経過していること。千代田、中央、港区と比べ再開発計画が少ないこと。羽田空港や中央リニアの始発駅である品川駅から遠いことなどが考えられます。ゆえに、住友不動産が今後さらに業績を伸ばせるかどうかは、既存所有物件の改善を進め、空室率を下げられるかにかかっていると思われます。

【関連記事】
都心で景気の影響を受けず常に高い資産価値を保つ土地とは!
三井不動産 野心的な攻めの増資ですすめる積極投資
三菱地所積極投資へ舵きる 経営戦略転換の理由は?