JPモルガン・チェースは2016年、テクノロジー分野に95億ドル(約1兆521億円)、そのうち6億ドル(約664億9200万円)をデジタルおよびモバイルサービスの改善を含むFinTechソリューションに投じた。

ジェームズ・ダイモンCEOは最新の顧客向け年次報告書の中で、こうした未来への投資が好調な業績となって反映されたとの考えを述べている。

小企業向け融資からオート・ファイナンス、開発者サービスAPIまで幅広く着手

金融機関と異業種の壁を打ちやぶることに成功したFinTech。消費者と金融産業の価値観の変化にともない、大手銀行によるFinTech投資がすっかり定着した。JPモルガンも自社のデジタル商品を開発するかたわらスタートアップとの提携も積極的に行うなど、国際大手銀行の底意地を世界に見せつけている。

2015年以降、オルタナ融資ベンチャー、OnDeckと提携し小企業向け融資を開始したほか、昨年8月には米オンライン自動車ディーラー、トゥルー・カーとの提携で、車探しから融資まで請け負う「チェース・オート・ダイレクト」を開始。リアルタイム住宅融資アプリのルースティファイとともに、デジタル住宅融資市場にも参入を果たした。

また非営利金融サービス・コンサルティング団体、センター・フォー・ファイナンシャル・イノベーション(CFSI)の協力のもと「Chase Financial Solutions Lab」を設立。現在までに18社のスタートアップと提携し、消費者便益の向上と経済促進に役立つ商品開発に励んでいる。

年次報告書によると、現在は請求書の決済やビジネスサービス向け商品の開発中だという。それと同時に、顧客がそれぞれの需要に合った商品やサービスを構築可能な、ダイレクト・インターフェース型の開発者サービスAPIの提供も視野に入れている。ライバルを寄せつけない猛烈な勢いで、今後も金融産業に革命を起こし続けるだろう。( FinTech online編集部

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