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投資で期待した収益を実現するためには、リスクを低く抑えることが何よりも大切です。そのためには、一つの投資対象のみに投資するのではなく、自分に適したポートフォリオを構築し、それに沿って複数の資産に投資するようにしなければなりません。
そこで、NISA口座を有効に使ったポートフォリオの構築とリバランスについてみていくことにしましょう。


①ポートフォリオの構築と定期的なリバランス

投資で成果を上げるためには、個別の投資対象の選定(株式であればどの企業の株式を購入するか)ではなく、ポートフォリオの投資比率の決定(株式や債券、為替等に対してどのくらいの割合で投資するか)が重要だといわれることがあります。つまり、例えば、株式に投資金額の4割を投じると決めれば、あとはどの銘柄に投資しても大した差異はないという論理です。このように言うと、どの銘柄に投資するかの決定が重要ではないのかとお考えになる方も多いと思いますが、複数の経済学者が実験を行った結果、このような結論に行き着いているというのが実際のところです。そのため、投資を行うに当たって、まず初めに取り組むべきはポートフォリオの構築だといえます。債券にのみ投資すれば、リスクは低く抑えることが出来ますが、資産を形成するにはリターンが小さすぎますし、株式や不動産、商品のみに投資するにはリスクが大きすぎます。そこで、それらの投資対象に分散して投資し、大きな損失を回避するようにするのです。例えば、株価は景気動向に大きく左右されますが、穀物のような投資対象は、景気動向よりも気候や収穫量に大きく影響を受けるため、両者の値動きに相関性はありません。また、輸出関連の企業の株式であれば、為替動向に連動して株価が変動しますが、国内の不動産価格は為替とは直接関係がありません。このように、各々相関性のない複数の投資対象に分散して投資することで、一方の損失を他方の利益で相殺することが出来るため、リスクを低く抑えることが出来るのです。したがって、ポートフォリオの構築は重要だといえるのです。

それでは、投資をするに当たって、最初にポートフォリオを構築してしまえば、後はそのままでよいのでしょうか。例えば、投資を始める際に、株式に5割、債券に3割、商品に2割投資すると決めて、実際にそれに従って投資を実行したとしても、その後の価格の変動により、それぞれ資産の価額が投資金額全体に占める割合は変化してしまいます。投資して以降、売買を一切していなくても、株価が上昇し債券価格が下落した場合、株式の占める割合が6割になり債券の割合が2割になってしまうということは十分想定できることです。そのため、初めに投資をしたままで放置するのではなく、ある一定期間ごとに、価格変動による投資比率の変化を修正することが必要です。これをポートフォリオのリバランスといいます。このリバランスは、投資するうえで必ず必要になるもので、個人投資家だけでなく、年金等の機関投資家においても定期的に行われているものです。


②NISAの欠点

NISAは、年間100万円までの株式や投資信託について、売却益や配当金・分配金が非課税になるというものです。そして、一旦利用した非課税枠の再利用はできないこととされています。この制限は、短期的な売買を繰り返すのを防止し、息の長い投資を呼び込もうという国の思惑から設けられたものです。しかし、この制限のおかげで、ポートフォリオのリバランスが困難になってしまうのです。リバランスの基本は、価格が上昇して投資比率が許容範囲を超過している資産について、超過部分を売却し、そこで得た資金で、価格が下落して投資比率が低下している資産を買い増すという方法によります。これにより、投資比率が、当初決定したポートフォリオ通りに修正されるのです。しかし、NISA口座では、売却した部分の非課税枠は再利用できないので、売却して得た資金で投資比率が低下している資産を購入するということは出来ないのです。これがNISAの最大の欠点といえます。


③投資資産全体でのポートフォリオ

2014年の1月からNISAが開始されるため、NISA口座を有効に活用すれば有利な投資を行うことが出来ます。もっとも、上に述べたように、NISA口座の中でポートフォリオを構築した場合、リバランスを行うことが出来ないという問題が生じます。そこで、ポートフォリオに基づいた投資を行う際には、NISA口座のみではなく、課税口座も含めて実践して頂きたいと思います。つまり、年間100万円を超過する投資については、課税口座を利用するしか他に方法はありませんし、またNISA口座で年間100万円以内で投資したとしても、リバランスで買い増さなければいけなくなった資産の購入は、課税口座で行う等、NISA口座のみにこだわらず、自分が保有する口座全てでポートフォリオを構築するように心掛けて下さい。そのようにすることで、ポートフォリオのリバランスも可能になり、リスクを抑える分散投資の効果をより一層享受できることになるでしょう。

リバランスのタイミングは投資家によって異なります。しかし、どのような投資家であっても、リバランスは必要で、「投資したら後はそのまま」では分散投資の効果が薄れてしまいます。したがって、投資するに当たって、リバランスを行うタイミングを決めておくことをお勧めします。そうすれば、後はそのタイミングが到来する都度、ポートフォリオに基づいて投資比率を調整すればよいのです。

photo credit: photosteve101 via photopin cc

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