前週(5/8~5/12)の東京為替市場は、4週連続の円高となった。フランス大統領選通過による欧州政治リスクの後退、朝鮮半島の地政学リスクの後退などが主因でリスクオンが継続している。4週連続の円安は、16年11月2週にトランプラリーが始まり6週連続円安となって以来。

12日の東京銀行間のインターバンク市場の17時のレートは113円62戦で終え、週間では1円42銭(2.2%)の円安となった。ドル円の高値(海外市場を含む)は114円37銭(5/11)、安値は112円40銭(5/8)だった。

前週(5/8~5/12)の振り返り

8日の東京為替市場は、ドル円は10日続騰。17時のインターレートは、112円56銭と前週のGW谷間の2日引け比38銭の円安となった。日経平均が400円を超える上げとなったことも、円安に拍車をかけるきっかけとなった。

7日のフランス大統領選の決選投票で、独立系中道派候補のマクロン氏が勝利と伝わり、世界を揺るがしたポピュリズムの流れが断ち切れた。また、前週末の米4月雇用統計で失業率が10年ぶり低水準となり、非農業部門の雇用者数も3月の10万人割れから20万人超えに改善しており、6月14日のFOMCでの利上げを織り込む形でドル買いが強まった。

9日の東京為替市場は、ドル円は10日続騰。17時のインターレートは、113円64銭と前日比1円8銭の大幅円安となった。米6月利上げを意識し、米長期債利回りは時間外取引で2.38%前後と高値圏で推移しており、ドル買い・円売りが強まった。

10日の東京為替市場は、ドル円が11連騰。17時のインターレートは、113円91銭と前日比27銭の円安となった。海外為替市場で円高が進み、東京時間ではドル円は一時114円13銭まで付け、3月15日以来の114円台となった。日経平均が年初来高値を更新したことも好感している。

11日の東京為替市場は、ドル円が12連騰。17時のインターレートは、114円21銭と前日比30銭の円安となった。ドル円は午後1時30分過ぎに一時114円27銭まで上昇した、日経平均先物が1年5ヶ月ぶりの2万円を付け、円も高値へのトライとなった。その後、円は114円37銭まで付けている。

12日の東京為替市場は、ドル円が13日ぶりに反落。円の続落は12日で一旦停まった。17時のインターレートは、113円62銭と前日比59銭の円高となった。日経平均が2万円を前に反落し、週末のポジション整理もあって下げ始めると、ドルにも利益確定の売りが拡まった。

先週の海外動向を振り返る

12日の海外市場では、米国の弱い経済指標からドルの利食い売りが続いた。4月の小売売上高が市場予想を下回り、消費者物価指数も力強さに欠けた。ドル円は一時113円20銭まで売られたが、113円40銭台まで戻して引け、押し目買いの意欲も強い。

この2週間の円安トレンドは、欧州の政治懸念がフランス大統領選無事通過で解消傾向に向かったこと、朝鮮半島の地政学リスクが北朝鮮と米国の対話で改善に向かったことから、リスクオンの展開で始まった。加えて、5月5日の米4月の雇用統計が予想を上回り、6月14日のFOMCでの利上げがコンセンサスとなったことも円安を加速させた。

円安とともに、地政学リスク等で日本株が欧米の株か指数に比べて割安感が強くなっていたことから、世界の資金は米国株を一部売って日本株にシフトする動きがでたため、それが外国人の日本株買いにつながった。 日本株高と円安が競うように進んだ2週間だった。

「5/15~5/19」の為替展望

先週末の東京市場、海外市場で円安のビッグトレンドは一服となった。週初の月曜日は円高傾向で始まるだろう。しかし、円安および日本株のバリュエーションの割安感からの円安、外国人の日本株買いはもう1?2週間続く可能性が強いと見ている。

円の12日続落は、12年2月以来だ。12年2月に円は17日続落し、80年代以降の最長記録を更新した。 ビッグトレンドがくるとこれくらいのことはあり得る。

外国人投資家は、4月最終週に日本株を2850億円と週間ベースで今年最大の買い越しをした。GWの谷間である5月1週の2営業日でも1583億円の買い越しをした。これで4月1週以来5週連続の買い越しで累計9000億円を越す買い越しとなっている。過去の例でも外国人は4月に買い越すことが多く、アノマリー通りの展開だった。5月も外人は買いを継続することが多い。少なくとも一気に売りに転じるような局面ではなさそうだ。

6月のFOMCでの利上げをにらんで日米金利差拡大の思惑が続くならば、円安傾向が続き、外国人の日本株買いは続くとみたほうがいいだろう。

東京市場のメインシナリオは、103円08銭から114円37銭のレンジでの推移。103円08銭は日足の一目均衡表の転換線があるところ、114円37銭は5月11日高値だ。高値をブレークした場合は、3月10日高値の115円51銭が次のターゲットとなるだろう。113円08銭を割った場合は、113円ちょうど付近にある100日移動平均線や、112円81線にある日足の一目均衡表の雲の上限が次のサポートとなる。

今週のイベントは、18日に欧州中央銀行(ECB)の4月理事会議事録が発表される。ユーロ圏のテーパリングの動向が注目される。6月8日には英国総選挙が控えており、6月11日と18日はフランス議会総選挙、6月13~14日には米FOMCがある。5月後半には、再び欧州政治リスクがフォーカスされるようになるかもしれない。

今週の経済指標では、日本では17日に3月の機械受注、18日に1?3月期のGDP速報がある。海外では、15日に米5月NY連銀製造業景況指数、中国4月固定資産投資、小売売上高、鉱工業生産、16日米4月住宅着工、鉱工業生産、ユーロ1~3月GDP改定値、17日に米5月フィラデルフィア連銀製造業景況指数が注目される。(ZUU online 編集部)

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