それでは、株を買う時の注意点です。適切な銘柄を選んでいるのであれば、あなたがいまから買おうとしている銘柄は、何かきっかけがあって株価上昇が見込めるギャップを持っていることになります。そして、買うタイミングで、そのギャップが埋まるきっかけとなる材料がいつになるのかを考えます。

(本記事は、堀哲也氏著『日本株独学で60万円を7年で3億円にした実践投資法』日本実業出版社(2016/12/27)の中から一部を抜粋・編集しています)

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上方修正は決算の1週間前が狙い目

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(写真=PIXTA)

まずは、上方修正期待銘柄の場合です。

業績の上方修正は決算の1週間前頃に出ることが多いです。というのは、決算予想を一定以上の割合で変更する場合は1週間前までにIRを出す必要があるからです。

したがって、購入のタイミングは、決算の1週間よりもちょっと前が最もいいタイミングになります。ただし、中には早く上方修正を出してくる銘柄もありますので、その銘柄の過去のIRの出し方をチェックし、そういう銘柄であれば早めに購入しておく必要があります。

注意点としては、明らかに上方修正が他の多くの投資家に読まれていて株価が上昇を始めている場合は、より早めに購入したほうがよい場合もあることです。これについては株価の動きを見て臨機応変に対応しなければなりません。

上方修正をきっかけとして株価のギャップが埋まることを期待して買うわけですから、買うタイミングは、基本的には上方修正の出る前、ギャップが埋まり始めているならギャップが埋まる前となります。次に、黒字化が見込める赤字会社の場合です。

これも基本的には、上方修正銘柄と変わりません。黒字化という誰にでも好材料とわかるIRが出る前を狙うことになります。

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なぜか株価が低く抑えられている時は

上方修正等の場合は、株価のギャップが埋まるタイミングがわかりやすいので、買いのタイミングを見つけることも比較的簡単です。難しいのは、株価がなんらかの理由で不当に安く抑えられている場合です。

1つの方法としては、株価が明らかに不当に落とされていることに自信があるのであれば、安い時に仕込んでしまうやり方があります。いつ上がるかわからないが、いつか必ず上がるわけですから、倒産や下方修正の心配がない銘柄であれば買いのタイミングを最も簡単にする選択肢となります。

2つめの方法としては、需給から底を判断する方法です。大口投資家が自分が安値で集めるために無理やり株価を落としてくることは頻繁にあります。とはいっても、それには限度があります。大口側の立場で考えてみましょう。基本的に大口は空売りや現物売りを交えながら株価を下値に誘導してきます。しかし、他の大口や低位株投資の個人投資家達に自分の売りを安く買われる事態は避けたいはずです。

はじめのうちは、信用取引の保証金維持率が危なくなった個人の投げ売りやテクニカル投資家の売り転換と判断した売り(テクニカル的に株価下落の兆候が出て売りに動く)が期待できるでしょうが、株価が下がっていくとそのような売りはだんだん減ってきます。

逆に割安になったことによる買いが増えてきますので、安値で仕込みたい大口としても、株価を下げることができる限度というものが存在します。

そして、その限度付近まで株価が落ちてくると投げ売ってくる個人は少なくなりますし、テクニカル投資家はとっくに損切り済みでしょうから、どうしても出来高が少なくなります。そうなると、安値で集めたい大口としても買いたい株が思うように集まらない、へたに下げ誘導すると買われてしまって持ち株が減ってしまう状態になります。

大口はこの近辺でたまに出る売りを拾うしかありません。そのため、ロウソク足と出来高を見て、「株価の減少が止まって株価の動きが横横または微上げになった」+「出来高が細っている」の2条件を満たす状態になります。そうなった時が、仕込み開始の合図になります。

ただし時々、地合い(日経平均等、相場の動き)の下落に合わせて大口がもう一段下を狙ってくることがあり、そして成功することも少なくありませんので、この段階での買いは予定の半分までにしておいたほうが無難です。

しばらくして、大口がある程度株を集めてくると、今度は株価を上げる準備に入ります。株価が上がった時に安心して買ってもらえるよう、テクニカル的に買いやすいチャートを作ってきます。そうすると、時々爆買いで急騰しては少し下がることを繰り返したり、大口不在の場合は買いたい人たちが少しずつ買値を妥協する(高くても買ってくる)ために底値が少しずつ切り上がってきます。

このような兆候が見えてきましたら、残しておいた資金分も買ってしまって大丈夫です。株価上昇の準備が進んできたためです。ただ、このパターンになってもすぐに株価が上がらないことはありますので、ここまで来ても辛抱は必要になります。

このパターンは大口不在で、一時的な悪材料で下がった場合も同じようなパターンになりますので、なんらかの理由で株価が明らかに抑えられている場合は、同じように考えればよいでしょう。

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株を売るべき3つのタイミング

次に、株を売るべきタイミングについて説明します。あらかじめ適正株価を自分の中で想定しておきます。基本的には、「適正株価を超えたら売り始め、2倍まで来たらすべて売る」というものです。適正株価を正確に計算できるようになると、このパターンでかなりいいところで売れることが多くなります。ですので、適正株価を自分なりに算出して、この方法で売却していくのが基本になります。

とはいっても、そんなに簡単にはいかない場合も多くあります。そうした場合は、臨機応変に対応しなければなりませんので、それ以外の基準を持っておく必要があります。1つめは、ローソク足と出来高から見る方法です。「いままでに比べて1日の値幅が大きくなり、かつ、出来高が急増した時に売る」というものです。

大口がいる場合、大口としてはなるべく高値で多くの株を売りたいはずです。では、どうしたら高値で多くの人に株を買ってもらえるでしょうか。高値で買ってくれる1つめの対象はデイトレーダーです。

彼らは、出来高が多く値幅の大きな銘柄を好みます。であれば、その通りの動きをしてあげれば彼らは喜んで買ってくれるでしょう。そういう理由から、天井をつける時には株価の振れ幅は大きくなり、そして出来高も増えるのです。大口が不在でも、そのあたりを理解している個人投資家達が高値で売り抜けようとするので結局同じような動きになります。

しかし、それほど値動きの激しくない銘柄もあります。そこで、2つめの基準としては、「株価が25日移動平均線を割り込んだら売る」というものです。ここから盛り返す銘柄もあるにはあるのですが、ここを割り込むといったん大きな調整をする銘柄も少なくないため、25日線を割った銘柄は売却するのが無難です。

3つめの基準として、上方修正銘柄や材料銘柄での方法ですが、「上方修正や材料が出たら翌日に売る」というものです。株価が上がっていくためには、そこから新たに高値を買ってくれる人が必要です。上方修正銘柄の場合、上方修正が出てしまえば直後に買いたい人は別にして、後から高値を買ってくる人などいないことになります。ですので、ストップ高で張りついている場合を除き、上方修正が出た翌日には売ってしまって問題がありません。

小型銘柄などでは、情報をチェックできていなかった個人投資家が株価急騰を見て買いに来ることもありますので、朝一番で売らなければならないわけではありませんが、材料をみんなが知ってしまえばもう株価は上がらないと思って行動したほうがよいでしょう。このようなことに注意しながら、株を売買していただければと思います。

堀哲也
日本株式専門投資家。7年間で60万円の資産を3億円に増大させた日本株式専門の投資家。1971年生まれ。名古屋大学理学部数学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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