米国の三大投資家、ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロス、ジム・ロジャーズをご存じだろうか。それぞれが非常に大きな成功をおさめているが、彼らが成功した方法や哲学は、個性豊かで大きく違う。各個人の投資スタイルに特徴があり、学ぶべき点も違う。それぞれの投資手法をみていこう。

バリュー投資のバフェット

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(写真=PIXTA)

バフェットは1930年生まれの86歳だが、世界最大の投資会社バークシャー・ハサウェイの会長兼最高経営責任者 (CEO) であり、現役の投資家だ。純資産は600億ドルを超えるとも言われており、世界中の投資家から「投資の神様」とあがめられている。

彼の投資スタイルの基本は、長期集中投資だ。優良企業の株価が低迷しているときに大量に仕込み、忍耐強く値上がりを待つ「バリュー投資」である。

投資対象は「事業内容を理解しやすい企業」「長期に渡ってキャッシュフローを生み出している企業」「高い市場シェアを誇る企業」を好む傾向にある。バークシャー・ハサウェイが投資している企業には、アメリカンエキスプレス、IBM、コカ・コーラ、アップルなどがある。

また、それらの企業を買い付けるタイミングも大きな特徴だ。好例は2008年9月、株式市場が暴落していた世界同時金融危機の最中、米大手金融機関ゴールドマン・サックスに永久優先株50億ドルを投資したことだろう。バフェットの予想通り、危機が収束した後、株価は大きく上昇。バフェットは同社を含め、金融危機前後に実行した投資で100億ドル以上の利益をあげたと言われている。

市場の歪みを突くソロス

そのバフェットと同じく1930年に生まれたジョージ・ソロスも歴史に名前を残す投資家だ。築き上げた資産は250億ドル前後と言われている。しばらく現役を引退していたが、2016年、第一線に復帰した。その言動は今もなお大きな注目を浴びている。

1969年に設立したソロスファンドは、1973年、クォンタム・ファンドに名前を変え、長期間に渡り莫大な利益をあげた史上最強のヘッジファンドと呼ばれた。「市場は常に間違っている」という信念に基づき、市場の歪みを突いて利益をあげるソロスの名声を確固たるものにしたのは、1992年のポンド危機だ。

ソロスはイギリス経済の悪化や欧州統合の仕組み上の問題から、ポンドの実質的な固定相場は持続不可能と読み、強烈にポンドを売り浴びせた。その額は100億ドルとも言われている。イングランド中央銀行も公定歩合を引き上げるなど抵抗したものの、ポンドはソロスの思惑通り下落を続けた。結局、ポンドは変動相場へ移行。この一件で10~20億ドルの利益をあげたというソロスは「イングランド銀行を打ち破った男」との異名をとった。

グローバル・マクロの先駆け ジム・ロジャーズ

前述のヘッジファンド「クォンタム・ファンド」。10年間で3,365%という驚異の利益をあげたこの伝説的なヘッジファンドをソロスとともに運営したのがジム・ロジャーズだ。1942年生まれの74歳。運用方針の違いから1980年に別の道を歩んだものの、徹底した市場調査でクォンタム・ファンドの運営を支えた。

ロジャーズは、各国の景気動向や中央銀行の金融政策、政治情勢などが引き起こす金融市場の変化を綿密に調査し、そこから価格の上昇または下落を予想してポジションを採る手法で成功をおさめてきた。この手法は後に「グローバル・マクロ戦略」と呼ばれ、現代ではヘッジファンドの主要な投資スタイルの一つとなっている。

ロジャーズは「19世紀は英国の時代、20世紀は米国の時代、21世紀は中国の時代」と主張している。それを体現するかのように、2007年には家族でシンガポールに移住。娘たちに中国語を学ばせているという。

個人投資家も参考に

このように、ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロス、ジム・ロジャーズの著名投資家3名には、一貫した哲学的な相場観がみられる。運用額の規模には差はあれ、個人投資家が参考にできることもあるのではないだろうか。(提供: 大和ネクスト銀行

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