愛知県を基盤としてスポーツクラブ「ホリデイスポーツクラブ」を展開している東祥 <8920> は、業界トップレベルの高収益を誇り、7期連続増収益、8期連続増配を見込む優良会社でもある。

スポーツクラブは装置産業だと言われている中で、東祥が業界大手を凌ぐ高採算の秘密に迫ろう。

東祥はスポーツクラブ業界で9位

“東祥
(画像=Webサイトより)

経済産業省によると、16年のフィットネスクラブ業界の市場規模は3282億円で前年比2.3%増だった。利用者数の合計は2億4818万人で同2.6%増だった。

健康志向の高まりとシニア世代のスポーツクラブへの関心の高まりにより業界は売上、利用者数とも堅調な推移になっている。上場企業のフィットネスクラブ売上高ランキングでは、首位がコナミスポーツ(コナミHD <9766> の子会社)、2位がセントラルスポーツ <4801> 、3位がルネサンス <2378> 、4位がコシダカHD <2157> で東祥は5位に位置している。コシダカは女性にターゲットを絞り、東祥は大人にターゲットを絞っていることが特徴だ。

東祥の営業利益率は業界トップレベル

東祥の今期予想の営業利益率は27.3%と非常に高い。今期の会社予想の営業利益率で比較すると、コナミHDは1.6%、セントラルスポーツは8.3%、ルネサンスは8.5%だ。コナミは主体がゲームであるので、同社のスポーツクラブのセグメントである健康サービス部門だけをみると6.5%である。スポーツクラブ業界には追い風が吹いていると言っても、基本的には装置産業的色彩が強く、営業利益率は大手でも10%以下だ。東祥の業界トップレベルの採算の高さは注目に値する。

東祥が好採算の秘密とは?

東祥が好採算となっている鍵は出店コストが低いことにある。創業が建設会社であり建設コストが安く、シニア層を対象として「大人だけのスポーツクラブ」を目指してスタートとしたため、都心型中心の同業他社とくらべ、地方を中心に出店することで出店コストが低いことが奏功しているようだ。 17年3月期は愛知以外を中心に10店舗、18年3月期も5店舗を開業予定であり出店を加速させている。

メインターゲットをシニア層の初心者にして、地方を中心に自動車で通えて、地域に根ざすことを目指している。大人に特化した会員制スポーツクラブとして、「大人の健康」をキーワードに、初心者向きのスタジオメニューや温浴施設などを充実させ、健康、リラクゼーションのスペースを提供することを主眼にしている。この取り組みが好評で、前期の64店舗の年間平均会員数は4.4%増と業界平均を上回り、会社の18年3月期までの新中期経営モデルの想定をも上回るペースを維持している。

新中期3カ年計画では、プール無しのモデルで都心型でも採算を重視のビジネスモデルを採用した。これで、都心型店舗でも収益力を落とさずに展開可能となったようだ。

スポーツクラブ事業以外にも「ABホテル」というホテル事業と不動産事業を手掛けている。スポーツクラブ事業の売上は17年3月期実績で164億円に達し、売上構成比は77%を占める会社の基幹部門。同セグメントの営業利益は43億円で、営業利益率は20.2%に達している。

もっとも、ホテル事業の営業利益率は28.0%、不動産事業は45.6%と高いため、スポーツクラブの営業利益率は会社全体よりは低くなるが、それでも明らかに業界トップレベルだ。

株主還元にも積極的 今期は分割及び実質増配

業績は極めて安定している。売上は11年3月期以来7期連続増収。利益は12年3月期以降6期連続増益。今期も売り上げ、利益とも過去最高益を更新する見込みで、8期連続増収、7期連続増益となる。6月16日には、9月30日割当で1対2の株式分割を発表した。

年間配当は従来計画の24円から19円に修正した。分割修正後の配当は年間25円となり、前期の23円から8.7%の増配となる。スポーツクラブや温浴施設はどこにいっても「大人」で賑わっている。これからの東祥の展開にも期待してみたい。(ZUU online 編集部)