老後にかかる資金の不安から資産運用を始める人が多いのではないでしょうか。しかし、サラリーマンは原則として副業が禁止されていることが多いです。本業以外のすべての収入が副業であるとするならば、資産運用も副業に該当するのでしょうか。サラリーマンの資産運用はどこからが副業になるのか、実際の判例をもとに解説していきます。
副業とみなされるボーダーラインは、本業に支障をきたすかどうか
公務員は国家公務員法第103条・104条や地方公務員法第38条によって副業が禁止されています。しかし、民間企業の場合は法令によって副業が禁止されているわけではありません。
原則として民間企業に勤める人は副業をしても問題ないということになりますが、実際には就業規則などに副業禁止と明記されている場合があります。従業員の副業を認めることにより、本業に影響を与える可能性が高くなるからです。
本来は、所定労働時間内は本業に専念することが雇用の前提条件となっています。つまり、本業に差し支えなければ副業をしても良いというのが一般的な見解となります。
本業に支障をきたす具体的な行為:遅刻や欠席など
それでは実際に、どのような行為が本業に支障をきたすと言えるのかを紹介します。
<株式投資やFXの値動きから目を離すことができず、遅刻を頻繁に繰り返す>
週末に大きな動きがあったとき、週明けの月曜日に為替相場が大きく変動する可能性が高くなります。取引開始時間に指値注文やストップ注文を行った結果、取引先との大事な商談に遅刻するなど、業務に差し支えるような遅刻を頻繁に繰り返した場合は、副業とみなされてしまうでしょう(小川建設事件)。
<睡眠不足で体調を崩し、重要な会議やミーティングの参加率が低くなる>
海外取引所を利用することで寝不足になることも考えられます。体調不良で欠勤が多くなり業務全体の遂行が滞ってしまうなどの弊害があると、副業とみなされる可能性が高くなります。
本業に支障をきたす具体的な行為:勤務中の行為
それでは、無遅刻無欠勤でも副業とみなされてしまうことはあるのでしょうか?
<勤務時間中に株式投資やFXを運用している>
勤務時間中に株式投資やFXを運用することで業務に著しい影響を与えた場合は、就業規則違反で懲戒解雇の対象になる場合があります。ただし、ただちに従業員を懲戒解雇とすることは、労働基準法違反として企業側が提訴されるリスクが伴います。
そのため、降格や減給、配置転換など、段階的な対応が一般的です。それでも、勤務態度が改善しないという客観的な事実が認められれば、懲戒解雇処分が妥当であると判断されるでしょう。
<競合他社の取締役として就業している>
本業で勤務しながら競合他社の取締役を兼業し、本業の会社と取引を行うことで懲戒解雇された判例があります(東京メディカル・サービス事件)。
この事件では、釈明に応じなかったこと、鍵等の提出命令に従わなかったことが理由で懲戒解雇が有効になっているため、もし応じていれば懲戒解雇を免れた可能性もあります。ちなみに本業の会社がこの従業員に対して損害賠償請求を行いましたが、実際に損害が発生した事実がないために、損害賠償責任については棄却されています。
賢く余裕を持って副業をするなら、不動産投資がおすすめ
昼休みや移動時間を利用して本業に影響を与えないようにすれば、資産運用をしても問題ないと考えることができます。つまり、不動産投資は保有している資産を貸し付けることによって収入を得るため、本業に専念することが可能となります。オーナーとして名義登録するだけで、面倒な手続きはすべて不動産会社や管理会社へ委託可能です。本業に専念したいのなら、不動産投資を副業にすることをおすすめします。(提供: Incomepress )
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