変化し続けるビジネスの世界で、事業を継続していくのはとても難しいことだ。一昔前は「企業の寿命は30年」などと言われていたが、東京商工リサーチが発表した「2014年 倒産企業の平均寿命調査」によると、現代の企業における平均寿命は23.5年に縮まっている。その一方で、同社の「全国老舗企業調査」によると、2017年に創業100年を超えた老舗企業は全国で3万3,069社もある。

創業100年の老舗企業と、平均的な寿命で終わってしまう企業の違いとは何なのだろうか。今回は、長寿企業が展開する事業の内容を詳しく知ることで、長寿の秘密を探っていきたい。

日本の長寿企業とは

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(写真=tsyhun/Shutterstock.com)

2017年現在、日本には創業100年を超える企業が3万3,069社も存在する。その中で最も古い歴史を持つ企業は、主に神社建築を行ってきた金剛組である。金剛組の創業は578年。つまり、1439年の歴史を持つ企業ということになる。ちなみに、金剛組は国内だけでなく世界でも最も古い歴史を持つ企業としてギネスブックにも登録されている。世界で最も古い歴史を持つ企業は日本の企業なのだ。

長寿企業と平均寿命で役目を終える企業の違いは何なのだろうか。このことを知るには、長寿企業についてもっと知る必要がある。果たして、事業を継続していくためには何が必要なのだろうか。また、どのような業種が多いのだろうか。長寿企業の業種別構成比を見ていきたい。

長寿企業2万6,000社以上の業種別構成比

長寿企業の業種別構成比は以下の通りである。

1位 「清酒製造業」 850社
2位 「貸事務所業」 694社
3位 「旅館、ホテル」、「酒小売業」 693社

1位の「清酒製造業」は古くから受け継がれてきた伝統(味)が長寿の秘訣であることが考えられる。3位の「旅館、ホテル業」は歴史をアピールすることによって、集客を図れる部分がある。新しいホテルや旅館の場合には、常に最新であることが求められるだろう。しかし、古くから存在する場合にはそれ自体が大きな価値になるのだ。そのため、積み重ねてきた歴史が多くなれば多くなるほど、その価値が高まるという状態になる。また同率3位の「酒卸売業」は、「清酒製造業」と共に二人三脚で存続してきたことが考えられる。ここまで紹介した業種は、積み重ねてきた歴史が強みになる部分が大きい。

そこで、今回注目したいのがランキング2位の「貸事務所業」だ。「貸事務所業」には、積み重ねてきた歴史よりも不動産事業としての強みによって長寿となってきたことが考えられる。

不動産事業の特徴と強みとは

不動産とは資産だ。その資産を利用して、利益を手に入れるのが貸事務所業ともいえる。駅前などの好立地物件を持っていれば、入居者に困ることはあまりないだろう。また、事務所の移動は頻繁に行われるものではないので、一度入居が決定すれば、しばらくの期間は収入が確保できるという点も大きな強みとなる。

不動産事業は大きく分けて2つに分類できる。貸事務所業のように自らが物件を取得して賃貸する不動産賃貸業と、自ら物件を賃貸するのではなく、貸主に借主を斡旋する不動産流通業の2つだ。

今回ランキングされている「貸事務所業」は、自らが賃貸する不動産賃貸業に分類される。貸事務所業の場合、入居者が決まっていれば、基本的に毎月決まった売上を確保できる。売上の確保ほど、企業にとって安心できるものはない。先行投資は小さくないが、物件選びさえ間違えなければ、比較的固いビジネスだといえる。

資産を活用して利益を手に入れる。これこそが、不動産事業の特徴であり強みでもあるのだ。

長寿企業を支える不動産事業

資産は、売却したりしない限り手元に残る。つまり、優良な資産を持ち続けているということは、利益の確保につながるということになる。また、その資産を担保に更なる融資を受け、新たな優良物件を手にすれば、利益も増える。優良物件を手にしていれば、それだけで利益を生み続けていくのだ。

資産を活用して利益を生み続けていく。これこそが、貸事務所業が長寿企業の中に多い理由だ。資産を活用して利益を手にするというビジネスモデルから学ぶべきことは少なくないのである。(提供: 百計オンライン

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