ドル円予想レンジ109.70-112.20

“FederalReserveleavesinterestrateunchanged,readies marketsforbalancesheetchanges(FRBは金利を据え置きとしたが市場はバランスシート変更の準備)”-。これは7/27の米紙見出しだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は7/26、連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で、過去の量的緩和政策で膨らんだ保有資産(約4兆4千億ドル/約500兆円)の縮小計画について「比較的早期に実施」と表明。9月にも開始を決定する姿勢を示した。追加利上げは昨年12月、本年3月、そして6月に実施して間もないため、今回は見送りとなった格好だ。

「イエレン伝説」は利上げにあらず

今回のFOMC声明を整理するにあたり、ポイントは2つ。ひとつは米個人消費支出や米消費者物価指数鈍化が顕著なのに対し、イエレン議長が強気な姿勢(7/12議会証言など)を継続するか否か。結果は、足元の物価水準に関して、6月声明の「2%をやや(somewhat)下回っている」を今回は「2%を下回っている」とした表現に変更し、僅かながらインフレ鈍化を認めた。これを以て米利上げ確率を示すシカゴFEDウオッチも、年内利上げ観測派は極めて少数となった。

二つ目は量的緩和政策で膨らんだ保有資産の縮小を前回は「年内に着手」としていたものが、「比較的早期に実施」に修正されていた点である。この点には引き続き、来年2月の任期満了に向けたイエレン議長の矜持(プライド)を感ずるところである。「金融政策正常化」に向けた強引な舵切り、と邪推せざるを得ない。

「金融政策正常化」の最終段階として満期を迎えた債券への再投資減少は“資産縮小開始”の事実になるわけで、まさに「イエレン伝説」の形成になる筈だ。無論、米長期債券金利上昇に転じれば、ドル円レートも牽引されるだろうが、そうした賭けが裏目に出ればドル円の圧迫材料になり得る。米10年債金利との200日終値比7/27時点での相関係数を示す0.921がドル円のモメンタムとなろう。

8月第1週のドル円上下焦点

市場が本格的な夏休みを迎える中でのヤマ場は8/4米雇用統計か。(安倍政権の改造内閣人事にも期待を抱きたいが・・)テクニカル観点では週足一目雲上限112.23、200日線推移の112.08、日足雲上下限111.55-110.41を局地戦で留意。上値焦点は7/27高値111.72、7/26高値112.22、7/20高値112.43を推考。下値焦点は7/27安値110.77、7/24・6/16安値圏110.64-61。割れると6/15の20時頃から深夜に向けて上昇した109.70-110.60価格帯が意識され、6/15安値109.265が最終橋頭堡と推考。

為替見通し7-28

武部力也
岡三オンライン証券 投資情報部長兼シニアストラテジスト