大手不動産会社らの東南アジア不動産進出が相次いでいる。不動産投資は投資の中でも人気の高いビジネスだが、なぜ今東南アジアが注目されているのだろうか。東南アジアの中でも注目度高いのが新興国と呼ばれる国だ。インドネシア、フィリピン、タイなどである。人口密度が高いシンガポールや香港、マカオ以外の拠点は今後の成長率が高いことが期待されている。
その要因の1つが人口構造だ。日本は超高齢化社会に突入しているのに対し、東南アジアの新興国はピラミッド型の人口構造となっている。これは日本の高度経済成長期に似ている。人口構造からもマンパワーが期待される地なのである。また銀行などの利息などからもわかるように東南アジアは利回りが高いのが特徴だ。不動産についても利回りの高さに注目が集まっている。
このように経済発展が期待できる東南アジアに不動産投資を行うのが狙いなのである。
大手不動産会社の相次ぐ東南アジア進出
大手不動産会社が相次いで東南アジア進出を果たしている。地元の大手不動産会社と提携して共同開発を進めるケースが多い。2017年7月には、インドネシア、フィリピン、シンガポールで不動産各社の事業計画が発表された。
・インドネシアの集合住宅と商業施設開発
大和ハウス工業が「サウスイーストキャピタルプロジェクト(仮称)」への参画を発表している。この事業は、海外交通・都市開発事業支援機構がTRIVOと提携して行うものである。事業内容はジャカルタ市の東南部(敷地面積約12ヘクタール)で総戸数5000戸(全12棟)の集合住宅と商業施設などの開発を進める予定だ。総延床面積は約64万平方メートルで、竣工予定は2024年度内としている。
インドネシアは東南アジアの中でも人口が最も多く経済成長率も6%となっており、今後さらなる発展は予想される。首都ジャカルタは日系企業をはじめ外資系企業の参入が相次いでおり、不動産についても引き続き目が離せない状況と言える。
・フィリピンの複合施設(住居・商業施設)と高層コンドミニアム開発事業
野村不動産と三越伊勢丹ホールディングス、Federal Land Incorporated(フィリピン大手不動産会社)と3社共同で首都マニラのボニファシオ・グローバル・シティ地区において複合施設(住居・商業施設)の開発計画を発表している。
複合施設は敷地約1万5000平方メートルに全4棟ほどの予定だ。住居部分は約11万2000平方メートル、商業施設部分は約3万平方メートルほどの予定である。竣工予定は商業施設が2020年開業、住居部分が2025年完成を目指している。
さらに、三井不動産はフィリピン大手不動産会社ROCKと提携し高層コンドミニアム開発事業に参画することを発表している。三井不動産の出資は20%ほどである。
フィリピンは2012年以降、6%の成長率を維持しており引き続き不動産投資も注目を集めている。特に外貨獲得に積極的で海外企業や外国人に対するビザ規制も他国に比べて恩恵を受けやすい国だ。今後さらに成長することが予想される。
・シンガポールの大型再開発事業
三菱地所がシンガポールの中心部の大型再開発事業に参画することを発表している。三菱地所のシンガポール法人CapitaLand LimitedやCapitaLand Commercial Trusなどグループ会社と提携して行う事業だ。延床面積約9万3400平方メートル(敷地約6100平方メートル)の地上51階立てのビルに複合施設を建設する計画で、総事業費は約1450億円、竣工は2021年上半期を予定している。
シンガポール経済は完熟期に入っているので不動産の伸び率も低い。2016年成長率2%ほどとなっている。再開発や不動産投資で巻き返したいという政府主導の政策もあり上記は注目を集めている。
経済成長が引き続き好調な東南アジア
東南アジアの経済は引き続き好調かつ不動産の利回りがまだまだ高いため、外国人投資家の不動産投資先として注目されている。土地価格が低い東南アジアは減価償却などの節税対策などでも有効であり、今後まだまだ目が離せない状況だ。(ZUU online編集部)