東京株式市場が歴史的なこう着相場になっています。日経平均株価の月間変動率(取引時間中の高値が同安値から何%上値かを示した数値)は1.7%にとどまり、1980年11月の1.2%以来の小ささとなっています。一時に比べ地政学的なリスクや国際政治上の不安が後退し、企業業績も堅調ですが、日米で政治不安が続いていることや、円高圧力が強い外為相場が逆風になるなど、強弱材料が対立していることが要因と考えられます。

そうした中、株式市場は8月を迎え、夏休みを取る市場参加者も増えるため、積極的な売り手や買い手が少なくなり、一層こう着状態が強まる可能性もありそうです。そのため、個人投資家の関心は値動きが相対的に軽い東証マザーズ市場やジャスダック市場に向かう可能性もありそうです。そこで、今回の「日本株投資戦略」では、東証マザーズ市場にスポットを当て、好業績を背景に買われそうな銘柄をピックアップしてみることにしました。

四半期決算が良好で、通期業績で「上振れ」が期待できそうなマザーズ銘柄は?

決算発表シーズンが本格化してきました。この時期は、業績、特に利益が予想より上振れとなった銘柄や、業績予想が上方修正された銘柄の株価が上昇する傾向にあります。ただ、そのような銘柄を探し出してくることは困難であるのが現実です。特に四半期決算では、会社側が業績予想を公表していないケースが多く、ヒントは少ないのが現実です。

しかし、すでに四半期決算(第2・第3四半期累計も含む)を消化している銘柄であれば、その実績から通期の業期予想を達成できるか否か、予想の材料にすることができます。例えば、2017年12月期を通期とする会社であれば、2017年1~3月期の実績をみることで、通期の業績予想を上振れることができるか、下振れる可能性が大きいのか、予想をすることができます。

今回の「日本株投資戦略」では、このような考え方にもとづき、四半期決算が良好で、通期業績で「上振れ」が期待できそうな東証マザーズ銘柄をピックアップしてみることにしました。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証マザーズ上場銘柄であること
(2)6月、9月、12月を決算期とする銘柄であること
(3)直近の四半期決算(第2・第3四半期累計も含む)で営業増益となっていること
(4)仮に年度の残りが前年度と同額の営業利益に終わったとしても、通期の営業利益が会社予想を上回る計算であること
(5)上記の(4)で計算された営業利益が3億円以上となっていること

上記のすべての条件を満たす銘柄をコード番号順に並べたものが表1です。なお、6月決算銘柄はもともと、銘柄数が少ないこともあり、該当する銘柄がありませんでした。

例えば表1の日本アクアの場合、第1四半期(2017年1~3月期)の営業利益は前年度の233百万円から今年度は314百万円と34.6%増加しました。ちなみに、前期(2016年12月期)における同社の第2~4四半期の営業利益は1,171百万円で、通期は1,404百万円(233百万円+1,171百万円)でした。第1四半期が前年同期比34.6%の増益だったにもかかわらず、第2~4四半期の営業利益が前年並みの1,171百万円に終わると仮定し、2017年12月期の営業利益を試算すると1,485百万円(314百万円+1,171百万円)となり、会社予想の1,430百万円は上回る計算になります。

無論、残りの四半期でさらに減速し、結果的に営業利益が会社予想を下回るケースも想定されます。しかし、四半期決算の実績から、これらの銘柄の業績が上振れる可能性は「相対的」に高いと言うことはできそうです。

今回のスクリーニングは四半期決算の実績を利用していますので、3月決算企業で、これから第1四半期の決算を発表しようとしている多くの銘柄はもともと含まれないことになります。

また、表1のGMOリサーチ(12月決算)は7/27(木)に決算発表を実施。すでに第1四半期の時点で営業利益が前年同期比63.8%増と好調で、第2四半期累計の決算発表時に業績予想の上方修正を期待した投資家もあったと思われますが、結果的には修正はされませんでした。このため、7/28(金)の株価は軟調ですが、通期業績との比較では引き続き「上振れ」の期待が大きいと考えられます。

四半期決算が良好で通期業績が「上振れ」となりそうなマザーズ銘柄

マザーズ銘柄と市場コンセンサス

東京株式市場のこう着感が強まる中、東証マザーズ銘柄の優位性が続いています。前年末からの株価上昇率は日経平均株価が4%台であるのに対し、東証マザーズ指数は23%台となっています。単に値動きが軽いのみならず、成長性の高い銘柄が数多く上場されていることが魅力となっているようです。

東証一部でアナリスト予想が公表されている銘柄だけで計算すると、今年度(前決算期)の営業利益は12%程度増えると予想されています。しかし、同じ計算を東証マザーズ銘柄で実施すると4割程度の増益になる計算です。もっとも、この計算は東証マザーズ市場の全銘柄の営業利益の3分の2を占めるミクシィ <2121> を除いています。同社を含めてしまうとマザーズ全銘柄の予想営業増益率は3%程度に「縮小」してしまい、マザーズ市場の個別銘柄のイメージとかい離してしまうためです。

ただ、東証マザーズ銘柄のリスクとしては「情報の少なさ」が指摘されると思います。東証一部銘柄の場合、全体の6割の銘柄には1人以上、45%の銘柄には2人以上のアナリストが業績予想を公表しています。業績予想があるということは、多くの場合レポートも存在することを意味しています。また、アナリストの業績予想を平均化した「市場コンセンサス」が形成され、投資を判断する時のヒントも比較的豊富であるとみられます。

これに対し、東証マザーズ銘柄の場合、アナリストが1社以上業績予想を公表している企業は全体の3分の1で、2社以上はさらに13%に過ぎません。すなわち、投資レポートがある銘柄はほんの一部に過ぎないのが現実です。少ない情報で投資する分、リスクも大きくなるという側面があります。

特に決算発表直後は、業績の変動により株価が大きく変動します。投資を検討している銘柄に情報がない場合、決算発表のタイミングでは十分注意して臨んでいただきたいと思います。そして、決算発表のタイミングをまたいで投資する場合は、今回のように四半期決算の実績を利用することもひとつの方法であると考えられます。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

【関連記事 SBI証券より】
「日本株投資戦略」特選の「8月優待銘柄」はコレ!?
市場が期待する好業績マザーズ銘柄はコレ!?
第1四半期、利益上振れ&株価上昇が期待できそうな銘柄はコレ!?
買い場到来?業績予想「上方修正」も期待できる「特選10銘柄」はコレ!?
海外投資家も注目?大幅増配&高配当利回りが期待できる銘柄はコレ!?