海外からの観光への影響は?
2011年3月に発生した東日本大震災と、それに伴う福島第一原子力発電所の事故は、東京の観光にも大きな影響を与えました。2011年に東京を訪れた外国人旅行者数(訪都外国人旅行者数)は、2010年に比べ31.0%減の410万人にとどまっています。また同年の全国の訪日外国人旅行者数も、同27.8%減の622万人と過去最大の下げ幅でしたが、東京の数値はこれを上回る減少率でした。東京が福島から近いことが人々を遠ざけたのです。
しかし、外国人旅行者については、日本政府観光局(JNTO)の訪日外客数(訪日外国人旅行者数)調査によれば、2012年は837万人となっており、震災前の2010年における861万人を2.8%下回るまでに回復しました。その後は順調に伸びているようです。
このような回復状況の中、東京スカイツリーも外国人観光客からの人気に一役買っているようです。2014年8月2日の毎日新聞によると、東京スカイツリーを訪れる個人観光客のうち、外国人客は6.8%に上ることが、運営会社の聞き取り調査で分かったそうです。国や地域別では、台湾が19%で1位。米国11%、中国8%、香港7%となっています。外国人のうち54%がアジアからでした。台湾からが多かったのは、台北市の超高層ビル「台北101」とスカイツリーの両方にのぼると、記念品がもらえるなど積極的なPRの成果だそうです。現地語で「晴空塔(チンコンター)」の名で知られるようになった効果が表れたとしています。
スカイツリー観光を見据えた東武鉄道の戦略とは?
東武鉄道が4月に発表した2014年3月期の業績によると、スカイツリー業含むレジャー業は、営業収益は前期比1.2%増の7521億100万円、営業利益は同14.0%増の120億7700万円となりました。在京テレビ局6社による地上デジタルテレビ放送の本放送が開始され、社会インフラとしての電波塔機能を本格的に発揮することとなりました。また、台北101との共同プロモーションを実施するなど、訪日観光客の誘致活動を積極的に展開するとともに、開業1周年記念イベント、季節に応じたイベントや多彩な特別ライティングを実施したことなどが好調の要因となりました。
そして、東武鉄道はこの夏には夏休みを見込んだ、双葉社と組んだ「クレヨンしんちゃん」との夏休み特別タイアップ企画を展開しています。このイベントの一環として、スカイツリーでは「オラと一緒に出発おしんこー!! しんちゃんと行くスカイツリー学習会」が開催されました。このように、東武鉄道では、スカイツリーをレジャー業の中核として戦略を強化しています。
スカイツリーは東京タワーを超えられるか?
昭和33年に開業以来長い歴史を持つ東京タワーは長い間、東京の象徴として君臨してきました。「ALWAYS 三丁目の夕日」や「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」といった人気映画やドラマ、小説の舞台として幾度となく取り上げられ、国内外で親しまれてきました。
一方、東京スカイツリーは開業してまだ2年です。しかし、すでに来場者は1000万人を突破するなど、その人気はすさまじいものがあります。しかも、東京タワーに代わる電波塔としての重要な役割を担っています。これから、新しい時代の東京の象徴として親しまれていくことでしょう。
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