「世界中の企業で働いた人たちが生み出した利益の一部をもらう」とか、「世界の多くの株を買って持っているだけでいい」とか言ってるけど、「それで本当に儲かるのかな」と疑っている人いませんか?マネー誌などに載っている華やかな投資のやり方と、本書のここまでの話では言っていることがまったく違ったりしてしませんか?

(本記事は、吊ら男 氏の著書『 毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資 』ぱる出版(2017/7/15)の中から一部を抜粋・編集しています)

世間の投資セオリーvsズボラ投資セオリー

ズボラ投資,吊男
(画像=Webサイトより)

●世間の投資セオリー
・銘柄分析をして、値上がりする銘柄を選ばないといけない
・株は安いところで買って、高いところで売らないと儲からない
・しっかりとソン切り (売却) することが大事

●本書の投資セオリー
・銘柄は分析しないし、選ばない。全部買う。
・買うタイミングも売るタイミングもなく、基本的には買って持ち続ける
・ソンが出ても持ち続ける

世の中の投資関係の雑誌やセミナーで言われていることと、本書で言われていることと、どちらを信じますか?

「どこの馬の骨が書いているとも分からないこんな本よりも、世間のセオリーを信じるに決まってる」なんて言わずに、この続きを読んでください。どうして世間のセオリーと違っていいのかを説明します。

ズボラは指標で投資する 努力投資VSズボラ投資

世間の投資セオリーでは、会社の事業内容や財務状況の分析、または売買タイミングの分析などが大事ということになっていますが、これは本当でしょうか? 投資の素人がポイントだけ押さえて買ったインデックスファンドより、企業の業績を分析して、経済ニュースも見て、売買しているほうアクティブなプロのほうが儲かりそうな気もします。

しかし、現実は残酷で、そのような結果になることを示す証拠はありません。むしろ、その逆を示すようなデータが多数報告されています。

投資信託は大別して「アクティブファンド」と「インデックスファンド」に分けられます。「アクティブファンド」はファンドマネージャが銘柄やタイミングを選んで投資する投資信託で、「インデックスファンド」は特定のインデックスに連動することを目的に機械的に運用されます。

ファンドのプロが銘柄やタイミングを一生懸命選んでいるアクティブファンドと、インデックスの値上がりや値下がりに流されるだけのインデックスファンドのどちらが儲かりそうでしょうか?アクティブファンドの方が儲かって良さそうな気もしますが、実はその逆でインデックファンドが優勢なのです。これが実際にデータで示されています。

資産運用を仕事とし、毎日のように銘柄分析をし、個人では手に入らないようなアナリストの金融情報を入手して投資しているはずのファンドマネージャが運用してもインデックスに勝つのは困難なのです。

ここでも手数料がネック

ここで多くのアクティブファンドが負ける最大の理由は「コスト」です。投資においてコストにこだわるべきだと書きましたが、その理由がここにあります。プロが必死に運用しても、1%やそれ以上に手数料がかかってしまってはそれを取り返すのは難しいのです。たった1%や2%程度の手数料として侮ってはいけません。

その一方で、インデックスファンドを持っていれば、特に努力せずとも基本的にはほぼインデックスと同じ成績が得られます (厳密には信託報酬がかかる分だけはインデックスよりは成績が悪くなりますが、ほぼ同じということで)。ズボラ投資をすれば、あなたは今日からプロ投資家以上の投資家になるのです。

ファンドマネージャが一生懸命運用しても半分以上がインデックスに勝てないように、投資の世界は勉強や努力が成果に結びきません。むしろS&P500やTOPIXのようなインデックスに近い成績で満足しておけば、ファンドマネージャたちの平均成績を越える可能性は高いのです。

努力しなくても勝てる

ファンドマネージャと言われているプロの投資家レベルでもインデックスに大敗を喫しています。ただの一般人である私やあなたには、どれほどの能力があるのでしょうか? ファンドマネージャたちよりもはるかに優れた投資能力を開花させられるだけの才能があるのでしょうか?

まず、そんな能力はないという人が大多数でしょう。結局、世の中には投資で儲けているアクティブファンドや投資家はいますが、その多は運です。運ではなくて実力で勝っている人がいても、それは限られた才能ある人たちです。株式投資は、私を含めた大多数のフツーの人は勉強したからといって儲けられるような世界ではありません。

インデックスファンドをおとなしく持っているというズボラなやり方は、多くのアクティブファンドや一生懸命銘柄やタイミングを選んでいる投資家に勝てる投資なのです。 どうでしょう? 給料をただ銀行に預けているより、ズボラ投資をしたほうが、資産形成ができる気がしてきませんか。

で? 結局、なぜズボラ投資は儲かるの?

――世界経済は成長している

察しの良い方は気づいてしまったかもしれません。「ズボラ投資が努力投資に勝てるとしても、それはズボラ投資が儲かる根拠にならない」と。ここまでの説明では、「ズボラ投資はアクティブ運用に勝ちやすい」という話をしているだけで、儲かるかどうかは話をしていません。

私たちが資産形成をするのに大事なのは、ライバルに勝つことではなくて自分のお金が増えることです。「アクティブ運用がマイナス10%で、ズボラな投資でマイナス5%だから勝ち」と言ってもそんな投資をする気になりませんよね? アクティブ運用に勝っていたとしてもソンするなら銀行預金の方がましです。

ここでは「ズボラ投資がなぜ儲かりそうなのか」ということを書きます。まずは、「過去に株をずっと持っているとどれだけ儲かったか」という実績を示しましょう。

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日経平均に連動するインデックスファンドを1989年(A)に買って、2016年(B)まで持っておくと……ダメですね。実際には配当があるのでこれよりはかなりマシになりますが、どう見てもイケてません。実は日本でズボラ投資が流行らなかった理由の一因がここにあります。自国の株価が右肩下がりだったために、「株を買って持っておくだけでは儲からない」「値上がりする株を厳選したり、売買タイミングを読むことが重要」という錯覚に陥ったのです。

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さあ、気を取り直していきましょう。上図はアメリカの代表的な株価指数、ダウですね。これはいい感じです。凸凹はありますが増えています。ダウに連動するインデックスファンドを持っていれば儲かりそうです。他にもヨーロッパの先進国や新興国の株式市場も見ていくと多くの国で長期的に株価は上がっています。

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そして、国ごとの株価ではなく、これらの国を「世界」としてまとめて株価を見てみましょう。MSCI というインデックス会社からMSCI World という世界の先進国と新興国を広く含んだインデックスの値動きを見てみます。上図がそのグラフです。MSCIWorld は1969年から算出されていて、現在で約50年経ち、ダウ同様に凸凹はありますが。見事に右肩上がりです。

だから「世界」に投資する

世界の株を買うと言ってきた理由はここにあります。ある企業の株だけを買った場合には、倒産してしまうかもしれません。いくつもの企業の株に分けて買っておけば全部が倒産するということもありません。それでも、日経平均が30年近くたっても元気がないように、ある国だけに集中していては、その国の調子に巻き込まれてしまいます。

そこで、一つの国だけではなく多くの国の企業の株に分散して投資します。そうすれば、好調な企業/国、不調な企業/国もありますが、世界の企業全体の成長を取り込めます。そんなことを言っても、ここ50年は世界企業全体の利益がプラス傾向かもしれないが、80年後はマイナスだった…なんてことはないのでしょうか?

こればかりは確実なことは言えませんが、その可能性は低いと考えます。なぜかと言うと、人間は「より良いものを生み出したい」という欲、「スゴいものを作ってたくさん売って金儲けしたい」という欲、「世間に認められたい」という欲など、様々な理由はありますが、人類はより便利なもの、よりすばらしいものを生み出しています。

吊ら男(つらお)
サラリーマンとして働きながら、『 吊られた男の投資ブログ(インデックス投資) 』を運営する人気の投資ブロガー。投資信託を使った低コストインデックス投資、パッシブ投資で資産形成を行っている。Twitterアカウント: @tsurao