ヘッジファンドは、マーケットに大きな動きがあるたびに金融や投資ニュースで話題に上ります。今回は、このヘッジファンドの概要や投資手法、マーケットでの位置付けについて、投資信託と比較しながら解説していきます。

(写真=PIXTA)
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ヘッジファンドとは

投資信託は、多くの一般投資家から集められた資金を一つの基金にまとめ、資産運用の専門家である運用会社のファンドマネージャーが国内外の株式や債券等を中心に分散投資して運用し、その成果を投資額の割合に応じて還元する仕組みの金融商品です。基準価額と呼ばれる投資信託の価格の情報は情報ベンダーの情報端末や運用会社のWEBサイト、新聞等に掲載されます。一般的な投資信託の場合、投資対象や投資リスク、手数料等について、その詳細は「目論見書」に明記され、一般投資家でも入手可能です。

一方、ヘッジファンドは、一般投資家ではなく、機関投資家などを対象とするものが多いといわれています。

機関投資家は、マーケットのプロとしてリスクを十分認識したうえで、資産の運用をヘッジファンドのファンドマネージャーに委託します。両者間の契約という形で、投資対象やヘッジファンドのファンドマネージャーに対する報酬などが決められます。

ヘッジファンドの運用戦略・手法

ヘッジファンドの戦略にはさまざまなものがありますが、主なものは、個別銘柄に関する定量/定性的情報や分析に基づいて株式のロング・ポジション(買い持ち)とショート・ポジション(売り持ち)を組み合わせる「株式ロング・ショート」や、企業の合併や事業・組織再編、倒産等のイベントによって生じる価格変動を捉えて収益を追求する「イベント・ドリブン」、同一の価値を持つ商品の一時的な価格差(ゆがみ)を捉えて、割高な方を売り、割安の方を買い、その後価格差が縮小した時点で反対売買をすることで利益を獲得しようとする「アービトラージ」などが有名でしょう。

ヘッジファンドのファンドマネージャーは、レバレッジや空売り(※)、あるいはデリバティブ商品を巧みに使い、収益をあげているとよく報道されています。一般的なファンドの運用であれば、目論見書に記載されていない投資対象への投資や運用手法を用いることはできません。その点、ヘッジファンドの運用では、投資対象だけでなく、運用手段にも自由度があります。

※レバレッジとは銀行や証券会社から資金を借り、実際に持っている資金の何倍もの金額で取引を行う投資手法です。また、空売りとは、ショートセルとも呼ばれ、ある株価の下落が予想される場合、実際に現物保有していないその株式を証券会社から借りて売却し、株価が下がったところで買い戻し、その差額で利益を確保します。

マーケットリスクを認識・評価し、リスク低減を図り、収益を確保することがヘッジファンドの目的です。投資対象は、単純な株や債券だけでなく複合商品、デリバティブ、為替、あるいはその他商品など多種多様です。それらに対してさまざまな運用手法を駆使して投資しているのです。また、そのリスク管理も我々の理解を超える計算式などを使って評価し、管理しています。

ヘッジファンドのマーケットでの位置付け

運用実績のいいファンドマネージャーのもとには、莫大な資金が集まってきます。例えば、著名な投資家であるレイ・ダリオ氏率いる世界最大級のヘッジファンド、ブリッジウォーターの運用資産額は約1,600億ドルで、1ドル110円と仮定して換算すると、約18兆円ものお金を運用しているのです。このようなヘッジファンドはマーケットにおける注目度や発言力、影響力は強まり、株式や債券市場だけでなく、為替や商品市場でメインプレーヤーとなっています。

これまでの説明で、ヘッジファンドについての知識は深まりましたでしょうか。ヘッジファンドはさまざまな投資戦略や手法を持っています。金融市場や証券市場が大きく変動した時はヘッジファンドが動いているかもしれません。ぜひともヘッジファンドの動向に注視してみてはいかがでしょうか。

(提供: お金のキャンパス

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