ハリウッドのネタ切れがささやかれて久しい。それを裏付けるかのようにここ10年ほど、公開される映画は続編、リブート、リメイク作品ばかりだ。マーヴェルやDC、ユニバーサルは、画面上の派手さを競い合うかのように自社のヒーローやモンスターをクロスオーバーさせている。ディズニーに至ってはこれまで公開してきた長編アニメ映画を実写化リメイクさせている。

完全オリジナルが減りアセットの使い回しが続くと、アイデアの枯渇を感じさせ悲しくなるが、リブートやリメイクは制作側にも観客側にもあらかじめある程度の成功(面白いこと)が保証されているという点で安心感を与えてくれる。

映画データサイトThe Numbersでは1995年から2017年に公開されたリメイク作品の興行成績をランク付けしており、1位は2017年公開『美女と野獣』、2位は2005年公開『宇宙戦争』、3位 は2001年公開『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』となっている。

同じくBox Office Mojoによれば『宇宙戦争』はその年の興行成績3位、『 ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』は6位と素晴らしい結果を残している。2017年はまだわからないが、 8月現在『美女と野獣』は興行成績トップに輝いている。

今年はリメイクとリブート、そして続編の公開が多い。本命の『美女と野獣』『キングコング:髑髏島の巨神』『スパイダーマン:ホームカミング』『ザ・マミー 呪われた砂漠の女王』は公開済みだが、9月以降も気になる作品が控えているので見所と合わせて紹介したい。

『It(原題)』(9月8日全米公開) ピエロ恐怖症誘発クラシックホラー

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(写真=antoniodiaz/Shutterstock.com)

1990年に公開されたスティーブン・キング原作のピエロ恐怖症誘発クラシックホラー『IT』のリメイク。



リメイク版の見所

オリジナルは、ピエロに扮した殺人鬼に怯える少年時代と、時を経て再び現れたピエロに立ち向かう大人時代の2部構成。

子供の頃にリアルタイムで本作を鑑賞してピエロにただならぬ恐怖心を抱いた人は、大人になった今、登場人物たちと同様に改めてピエロと対峙してみてほしい。映画の世界を疑似体験するまたとないチャンスだ。

『Flatliners(原題)』(9月29日全米公開) 臨死体験がテーマのサスペンス

1990年に公開された臨死体験をテーマにしたサスペンス映画のリメイク。オリジナルは、キーファー・サザーランド、ジュリア・ロバーツ、ケビン・ベーコン、ウィリアム・ボールドウィン、オリバー・プラットと今では考えられないほどの豪華な顔ぶれ。



リメイク版の見所

未来感あふれるプロップの数々と、より長く、より危険な経験を求めて臨死体験の長さを競い始める医学生たちの暴走。その様子は過激度を増すYoutuberのよう。

『猿の惑星: 聖戦記』(7月14日全米公開、10月13日日本公開)

『猿の惑星』シリーズのリブート作であり『猿の惑星:新世紀』の続編。1968年のオリジナル作品につながるとされている。



リブート版の見所

WETAデジタルの技術と主人公シーザーを演じるアンディ・サーキスの怪演が、人間でもない、チンパンジーでもない「エイプ」という生き物を生んだ。

『Jumanji(原題)』(12月22日全米公開) ジャングルが題材の危険なボードゲーム

1995年に公開されたジャングルをテーマにした危険なボードゲームをテーマにしたアドベンチャー・ファンタジー映画。故ロビン・ウィリアムズが、得意とする「子供の心を持ったまま成長した中年役」を好演。



リメイク版の見所

ボードゲームはテレビゲームにアレンジされ、プレイヤーはゲームの世界で決められたキャラクターになってゲームのクリアを目指すことに。主役は今をときめくドウェイン・ジョンソン。

ここで紹介したのは筆者が個人的に期待しているリメイクとリブート作品だ。中でも『IT』は一押しで、過去のトラウマと向き合うチャンスだと期待している。ホラー映画のキャラクターを疑似体験するチャンスは滅多にない。よくぞこのタイミングでリメイクしてくれたと心から楽しみにしている。(中川真知子、フリーライター)