近年、急速に注目を集め始めた不動産に「サービスアパートメント」がある。大手不動産会社も市場参入を果たしており、この2017年春には都心部に数多くの不動産を所有する業界大手も市場への参入を果たしている。サービスアパートメントとは何なのか、その良さは何なのか、紹介していこう。

ラグジュアリーホテルの内装を持つ期間限定マンション?

(写真=Kenishirotie/Shutterstock.com)
(写真=Kenishirotie/Shutterstock.com)

サービスアパートメントというのは、簡単にいうと高級ホテルのような内装があらかじめ用意されている賃貸マンションのことで、自宅同様の住環境が整備されている「期間限定の高級賃貸マンション」と考えればいいだろう。

高級ホテル並みに洗練され、ハイグレードな家電製品や食器、家具などが、あらかじめ備え付けられた賃貸マンションであることが多く、日本ではあまり普及していないが、海外で普及しているスタイルの一つだ。海外からの中長期出張するビジネスマンやセレブをターゲットにした賃貸住宅の一種といってもいい。

さらに、このサービスアパートメントにはもう一つ大きな特徴がある。それはホテル並みのさまざまなサービスがついていることだ。物件によって多少異なるものの、室内の定期的な清掃サービス、リネン交換、そしてフロントにはコンシェルジュなどが常駐している。

賃貸物件といっても敷金や礼金は不要だ。むろん、室内で料理や洗濯なども可能で、住まいとして普通に暮らすことができる。最低2週間以上もしくは1ヵ月以上滞在することが条件であるところが多く、利用者の多くは「最高級ホテルで暮らす」というイメージを持っている人が多いかもしれない。

外国人セレブを意識した環境整備やスペシャル感

前述のように日本国内にあるサービスアパートメントの多くは外国人をターゲットとしている。言い換えれば、サービスアパートメントの運営には、外国人の視点が不可欠ともいえる。日本の四季をモチーフにした内装や空中庭園といった「和」をイメージさせるモニュメントが施されているなど、外国人が興味を示しそうな「プラスワン」がある物件の人気が高いとされる。

また、都心の一等地に立地しているサービスアパートメントも人気が高いとされる。観光やビジネスの拠点として利用価値が高いからだ。むろん、セレブが好む超一流のレストランやスポーツジムなど付帯設備の展開も欠かせない。

一般的に、外国人利用客は1ヵ月以上の長期滞在客が多く、付帯サービスの利用頻度も高く一人当たりの単価が高いといわれる。そのような意味では、外国人観光客や外国人ビジネスパーソンに対して、どのような情報発信がなされているのかをチェックしてもいいかもしれない。建物や内装、家具といったハード面だけではなく、サービスアパートメント周辺の利便性、あるいは文化的な背景などを盛り込んだ形での情報発信が行われているのかをチェックしてみるといいだろう。

国際的な視点を持ったサービスアパートメント

さまざまな側面からサービスアパートメントの魅力について紹介してきたが、サービスアパートメント事業は2020年の東京オリンピック開催に向けて、今後ますますその数が増えてくる可能性が高い。

訪日外国人が急増していることは周知の事実だが、東京五輪の開催によって、今後はますます訪日外国人の受け皿が必要になってくる。実際に政府では、2020年の東京五輪までに訪日外国人を現在の2,000万人から4,000万人にするという目標を掲げているが、現在算出されている未稼働客室数を上回る増加を目標としている状況だ。このような点を考えると、サービスアパートメントの需要は当面高いと考えられる。

とはいえ、サービスアパートメントであれば、なんでもいいというわけではない。ホテル選びでもそうだが、その成否によって満足度は大きく左右される。失敗しないためには、どのような業者が運営しているサービスアパートメントなのかをチェックしておく必要がある。

日本の大手不動産企業も参入

サービスアパートメントの“主戦場”といえば都心部になる。例えば、都心部に強い三菱地所も、東京大手町に中長期滞在型のサービスアパートメント「アスコット丸の内東京」を展開し、3月30日から外国人出張者や観光客などを対象にサービスアパートメント市場に参入している。

日本の「おもてなし」は世界中から高い評価を受けている。今後の更なるサービスアパートメントの市場拡大に注目したい。

(提供: The Watch

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