国内では、いよいよ少子高齢化と人口減少の問題があらゆる市場に影響を及ぼしてきている。内閣府の「2030 年展望と改革 タスクフォース報告書」よれば、2015年の生産労働人口は約6,376万人だが、現状のままだと2020年頃には約6,046万人、さらに2025年頃には6,000万人を割ってしまうという見通しが出ている。

コンシューマービジネスでは、人口減と高齢化から既に業績に深刻な影響を受ける企業も出始めている。しかし、そんな状況下でも長寿企業として生き残っている企業が存在することもまた事実だ。こうした企業には共通した特徴が見られる。今回は、その特徴のなかでも経営者が着目すべき、3つの戦略について詳しく見ていこう。

戦略1:時代に合わせたビジネスの融合

(写真=Roman Samborskyi/Shutterstock.com)
(写真=Roman Samborskyi/Shutterstock.com)

老舗の長寿企業は、しっかりとした事業ドメインを有している。ただ、それを単に守り抜くだけでは事業をスケールすることはできないだろう。事業ドメインを重視しつつ、常に「時流にマッチした新たなビジネス」に着手し、一定以上の成功を収めていく必要があるのだ。

特に本業のビジネスの規模が縮小傾向にあるような場合に備え、常に新規事業でそれを補うという強い姿勢が必要になる。また、時代の流れに合わせて自らが保有している伝統の解釈などを柔軟に考えていくことも必要だ。長寿企業でありながら成長を実現できている企業は、総じてレガシーなビジネスと時代に合わせたビジネスの融合がうまく実現できている。

さらに新規のビジネスが既存のビジネスの邪魔をすることのないように、適度な距離感と相乗性の発揮が十分に配慮されている点も、見逃すことができない戦略である。

戦略2:顧客接点の重視

顧客接点を重視することは、長寿企業の重要な戦略だ。人口減少が進む昨今、過去の高度成長期と比べると、新しい顧客を開拓することは相対的に困難さを増してきている。

新規顧客の獲得は既存顧客から売上を獲得し続けるのに比べ、5倍以上のコミュニケーションコストがかかるとも言われている。したがって、多くの長寿企業は、これまで培われてきた顧客との関係を強力に維持することの方に力を入れることで、個々の顧客から生涯にわたって得られるLTV(Life time value)をいかに最大化するかに注力すべきなのだ。

「顧客接点重視」の実現は、簡単なことではない。まず、顧客価値を絶対に裏切らない高い品質・サービスを維持することが重要となり、何よりも、すでに構築された企業理念を貫き通す、ぶれない経営が必要になる。

また、こうしたブランドを培ってきた従業員をケアし、長期的に雇用を維持する努力も必要だ。顧客は知らず知らずのうちに、企業の姿勢というものを強く感じ取っているものだ。従来からの顧客の期待や信頼を裏切らない経営と商品・サービスの提供が、強い顧客接点の維持を生み出す原動力となることを忘れてはならない。

戦略3:柔軟性がある組織

長寿企業で、活力ある企業経営を実現している企業は、やはり経営者が組織運営に気を使い、柔軟性のある組織作りを心がけていることが多い。

老舗の長寿企業となると、どうしても組織の構成員に閉塞感が現れるようになる。このことは、独自の価値観だけを重視して、顧客の感じる価値との間にギャップ生み出すことになりかねない。しかし、成長する長寿企業の多くは、組織が柔軟であり、社会の変化に対応できる体制が整っている。見かけは変わらないように見えても、社会の変化にしっかり対応できる組織作りができているということだ。

長く市場に生き残るための最後の戦略は、柔軟な組織を作り上げ、新陳代謝を繰り返すことと言えるだろう。

(提供: 百計オンライン

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