ネットやテレビで流れる経済ニュースを目にしても、様々な数字が行き交うために、取っつきにくい印象を受け、肝心な情報は右から左へ。一方、毎日の暮らしの中で、お金に関わることは避けられず、漠然とした不安を抱きながら生活をしているというのが多数を占めるというのも事実だ。そこでここでは、個人のお金に関わる10個の数字に焦点を当ててみよう。

1. 資産1億円以上の世帯数「121万世帯」

光熱費,平均給与,家計の金融資産
(写真=PIXTA)

生活水準が類似した近隣住民や会社の同僚などがいくらの資産を保有しているかについては、気になるが直接は聞きづらい。野村総合研究所によると、預貯金、株式、債券、投資信託などの資産から負債を差し引いた金融資産の保有額が1億円を超えるのは、国内で121万7000世帯(2015年)に上る。総務省の統計では、同年の世帯数は5340万3000世帯となり、2.28%の世帯が1億円の資産を保有していることになる。

2. 家計の金融資産「1800兆円超え」

億万長者の世帯が万といることがわかったところで、さらなる好奇心をそそられるのが、家計の金融資産。日銀によると、17年3月末の時点での家計の金融資産は1809兆円に上る。16年12月末時点の1815兆円からは減少したものの、1800兆円の大台を維持している。資産のうち現金・預金が占める割合が51.5%、保険・年金・定型保証は28.8%を占め、安全志向の保守的な資産構成が浮かび上がる。

3. 平均貯蓄額「1033万円」

金融資産1800兆円と耳にしても天文学的な数字のように響くだけかもしれない。より身近な数字に落とし込むべく、厚生労働省の国民生活基礎調査(2016年)の各世帯の貯蓄に着目すると、貯蓄があると答えた世帯は80.3%だった。世界的にも貯蓄傾向が強いとされる日本人の姿が浮かび上がる。

さらに、1世帯当たりの平均貯蓄額は1033万1000円となっているが、世帯構成でその平均額は大きなばらつきがみられる。高齢者世帯は1224万7000円、児童のいる世帯は680万円、母子家庭は327万2000円となった。

4. 平均借入金「431万円」

貯蓄の平均額が1000万円を超えるという事実を知って、焦りを隠せない世帯もあるだろう。一方、借入金を見てみると、厚労省の同調査(16年)では、1世帯当たりの平均借入額は431万3000円となっている。

このうち、子育て、マイホームのローン支払いを終えた高齢者世帯の借入金の平均は68万円にとどまる一方、児童のいる世帯は、子育てに加え、マイホームのローンなども残る影響からか、借入金の平均は949万円に上る。母子世帯の借入金は185万1000円となっている。

5. 1世帯の生命保険料の支払い額「38.5万円」

金融資産でも3割近くを占めていた保険だが、その支払い額に着目すると、生命保険文化センターの集計では、個人年金保険を含めた世帯当たりの年間払い込み保険料の平均は、38万5000円となった。毎月3万2000円ほどを家計から捻出している計算となる。

性別で分けると、男性の平均保険料払い込みは、年間22.8万円、女性は同17.4万円となり、女性の社会進出が進む一方、まだまだ一家の大黒柱として家計を支える男性に万が一のことがあた際に備える傾向が根強く残る。

6. 平均給与「420万円」

保険料の毎月の平均負担が3万円を超えるなか、給与から家計をどのようにやりくりしているのか。国税庁の民間給与実態統計調査(2016年)によると、平均給与は420万円だが、正規社員の平均給与が485万円となったのに対し、非正規社員は171万円にとどまり、その差が3倍近く開いた。さらに大きな格差に着目すると、男性の正規社員の平均給与539万円と女性の非正規社員の平均給与147万円と3.6倍の差がある。

7. 上場1部時価総額は「約600兆円」

国税庁の民間給与実態統計調査では、正規・非正規、男女差の格差に加え、事業所規模と平均給与が比例する傾向がみられた。

東証1部に上場する企業は、上場の際には従業員規模数の規定はないが、時価総額が250億円(上場時見込み)以上などの条件を満たす必要がある。こうした基準を満たして東証1部に上場する会社は2024社(17年8月15日現在)に上り、東証1部の株式時価総額は595兆9650億円(17年7月末現在)となっている。

8. 教育費は幼稚園から高校まで私立で「1770万円」

人生の3大支出ともなる教育費だが、特に日本は高等教育における家計の負担が高い国と指摘される。しかし、高等教育に進むまでにも家計には教育資金は重くのしかかる。文部科学省の子供の学習費調査(2014年度)によると、幼稚園から高校まですべて公立に通ったケースでは、学費は523万911円となるのに対し、すべて私立のケースでは学費は1769万9263円と3倍以上に膨れ上がる。この金額は前述の平均給与の実に4年分に相当する。

9. 光熱費「月額1万8000円」

子供の教育費の数字を突き付けられて、先行きに重い空気が立ち込め、目の前の節約から励もうと光熱費に目をつける家庭も多いだろう。

電気料金が値上がり傾向にある中、節電を心がけてもなかなか成果が見えないという声も聞こえてくる。そもそも他の世帯の光熱費はどのようになっているのか。総務省の家計調査(17年6月分)によると、2人以上の世帯の電気代は平均8233円、ガス代4342円、上下水道料は5405円の計1万7980円となっている。世帯人数や住宅環境に差はあるが、1つの指標として参考にできるだろう。

10. 生活費のクレジット支払いは「6万円」

節電も意識して家計を切り詰めたものの、クレジットカードの明細をみて、家計が火の車に追い込まれてしまう苦い経験をした人もいるに違いない。JCBの調査では、クレジットカードの保有率は84%で、平均3.2枚のカードを保有しているという。カード保有者の月平均の生活費は18万2000円で、このうち平均6万2000円がカードで支払われている。

ポイントを貯めるためや、キャンペーンに乗せられてついつい気が緩みがちなカード払いだが、この平均生活費と支払金額を自身のカード払いと照らし合わせてみたいものだ。(ZUU online 編集部)