2014年4〜6月の決算
アップル社が発表した4月〜6月期の決算を見ると、売上高は374億3,200万米ドル(約3兆8,180億円)となっており、これを前年同期比で比べると約21億米ドルの微増となっています。また、純利益は77億4800万米ドルとなっており、前年同期比で8億米ドルほど増えています。スマートフォン「iPhone」とパソコン「Mac」の販売が好調で、第3四半期として過去最高の売上高を記録しております。アップルがいまだに驚異的な売上高と利益をたたき出す企業であることは間違いありませんが、iPhone発表後の数年に比べると成長率は鈍化しています。さて、アップル社の今後はどうなっていくのでしょうか。
投資家への手厚い対応。その意図とは
最近のアップル社は投資家に対して手厚い対応を見せています。昨年600億米ドル(約6兆1300億円)の自社株買いを行い、2015年末までに300億米ドル(約3兆600億円)の買い上げを行うと発表しています。さらに、四半期分の配当を8%も引き上げ、個人投資家向けに株式分割をするとしています。
さて、こういった投資家に対する一連の対応は、今アップル社に投資家からの厳しい視線が注がれていることへの裏返しとも言えます。それは、著名投資家のアイカーン氏が自身ツイッターで自社株買いを賞賛するとともに「新製品に期待している」とコメントしたことにも現れています。投資家たちは、アップル社に対して次の破壊的イノベーションを求めているのです。
アップルの成長は破壊的イノベーションにかかっている
さて、時価総額1位となったアップル社の驚異的な成長は、市場を一網打尽にする新しいプロダクトにより実現されました。アップルが初代マッキントッシュを送り出した際、ジョージ・オーウェルの小説「1984」をモチーフにしたCMが脚光を浴び、そしていまや伝説となっています。ビッグブラザーなる巨大なシステムに掌握された人間たちに風穴を開けるべく、ハンマーを手にした女性が権力者が映し出されたビジョンにハンマーを投げつけるのです。そのCMの影響もあり、マッキントッシュは驚異的なヒット商品となるものの、結局市場を席巻したのはウィンドウズでした。
その後、ジョブズは経営悪化の責任を取らされて退任させらましたが、ジョブズ去りし後のアップルは迷走を続け、1996年に復帰を果たします。その後世界的大ヒット商品となったiPodによってアップルの経営を無事立て直し、続くiPhoneの発明によって時価総額1位の会社となったことは記憶に新しいでしょう。つまり、アップルの業績は、破壊的イノベーションを持ったプロダクトを生み出すこととリンクしてきました。投資家は、次のiPhoneとなるプロダクトに期待しているのです。