上場地方銀行82社(持ち株会社を含む)の2017年4〜6月期決算がまとまり、日本経済新聞によると82社の半数以上が減益だった。大きな原因はやはり、日銀が2016年2月に導入したマイナス金利政策の影響で貸し出しの利ざやが縮小したためだ。地銀の経営環境の厳しさが改めて鮮明になったが、一方で着実に利益を出し、独自色を出している地銀もある。いわゆる「勝ち組」はどこなのだろうか。

金利低下で本業がヤバい地銀

地銀,,好業績
(写真=PIXTA)

地銀が逆境に陥っているのは、銀行の本業である利ざやビジネスが、日本経済の低成長と設備投資の手控えで資金需要が縮小する中で勢いを失っていることに加え、日銀のマイナス金利政策も響いているためだ。マイナス金利で日銀に預金すればコストになる分、民間融資が広がる。ただ、その分、貸出金利が25年前には5%前後だったのに現在は1%前後になり、利ざやはいっそう薄くなった。

地方では融資のパイが限られていることも状況を悪くしている。このため、銀行間の低金利競争に歯止めがかからない。2017年8月16日付の日経新聞朝刊によると、景気の緩やかな回復も追い風に、貸出金残高は増えたにもかかわらず、4〜6月期の貸出金利息収入は、計6989億円と2.3%減った。運用難で一部の保険商品の窓口販売が停止になることに加え、投信の売れ行きも減速しているという。

こうした流れを克服するため、地方銀行はここ数年、再編による拡大が相次いでいる。2016年4月に横浜銀行と東日本銀行が統合してコンコルディアFG <7186> が誕生し、地銀トップになった。関東では足利ホールディングスが常陽銀行と経営統合し、めぶきFG <7167> に商号変更し、福岡銀行と熊本銀行と親和銀行が合体したふくおかFG <8354> に次いで3位となった。

このほか、2013年に東京都民銀行と八千代銀行が持株会社として設立し、2016年4月には新銀行東京も完全子会社化した東京TYフィナンシャルグループ(FG) <7173> は、2018年に東京きらぼしFGに社名変更する。2010年に徳島銀行と香川銀行の金融持株会社としてスタートし、2016年4月に関西の大正銀行を傘下に加えたトモニHD <8600> は四国で存在感を放っている。

過半が減益

今回、上場地方銀行の純利益合計額は3034億円。

栃木銀行 <8550> やトモニHDは8割超の大幅減益となった。静岡銀行 <8355> の減益は55%。福島銀行 <8562> は4〜6月期として7年ぶりに赤字に転落した。

このほか日経電子版によると、中部3県(愛知、岐阜、三重)に本店を置く地方銀行8行の同決算では、本業のもうけを示す実質業務純益は8行のうち7行が合計で32%減ったという。一方、純利益は5行が増えたが、全体では1%減の139億円だった。

勝ち組はどこか

一方、今回の決算で増益となった地銀はどこか。注目すべき地銀に、京都銀行 <8369> を挙げてみたい。2017年4〜6月期の業績は、四半期純利益は前年同期比16億円増の88億円(22.1%増)となっている。

京都銀行というと、「ながーい、おつきあい」がコピーのテレビCMシリーズが有名だ。戦後に発足した京都銀行はメガバンクや有力信金の後発銀行として、苦難の道を歩み、オムロン <6645> 、京セラ <6971> 、村田製作所 <6981> 、 任天堂 <7974> など世界に通用する企業の草創期を支えてきた。そして、これらの大企業の躍進とともに、自身も拡大を続けてきた。

京都銀行が関係を持っている企業の中で、特に任天堂は大株主。2011年には店舗に「ニンテンドーゾーン」と呼ばれるサービスコーナーを設置したり、待ち時間に備え付けのニンテンドーDSで遊べるようにしたりなど、密接な関係にある。

任天堂は今年、東京市場の中心銘柄となった。6月27日には3万9530円と年初来高値を更新、4万円に迫り2008年10月以来8年8ヶ月ぶりの高値となった。これは社会現象となった2016年の「ポケモンGO」を上回る期待感が背景にあるが、それはいうまでもなく、新ゲーム機「ニンテンドースイッチ」だ。任天堂の今期の会社予想業績は、売上は53%増収の7500億円、営業利益は2.2倍の650億円。ゲームショーでの感触は極めて高く、アナリストたちの予測はそれを上回っているとも言われている。

京都銀行の快進撃は、こうした大きく育った企業との「ながーい、おつきあい」の結果と言えよう。

地銀が見いだすべき活路

静岡県のスルガ銀行 <8358> は、四半期純利益は107億円で、前年同期比20.5%だった。同行は個人向けのフリーローンや住宅ローンの貸出額が伸び、貸出金利回りも高水準を保っている。ネット支店も好調で純利益は最高益を更新するなど絶好調だ。

その秘密は、顧客の利便性のためにあらゆる努力を惜しまないところにあるように見える。

現在、特許出願中の独自のサービスとして、ALSOKホームセキュリティの侵入警報を顧客の自宅から受けた場合に預金口座を自動的にロックし、顧客の精神的不安を軽減するというものがある。また、ATMを搭載した「移動銀行窓口車」が神奈川県内の決まった場所を週に数回、巡回し、行員がローン相談などを受け付けるサービスも好評だ。

マイナス金利の影響で地銀は基本、逆境だ。一般の企業と同様に、ITなどを活用した大幅な経費削減が求められるのは当然として、遠回りのようだが、こうした工夫で県民に愛されることが求められているということではないだろうか。(フリーライター 飛鳥一咲)

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