助成金と聞くと、あなたはどのようなイメージを持ちますか?助成金は、企業が受け取れるイメージが先行し、個人事業主は助成金を受け取ることができないと思う人もいるのではないでしょうか。実は個人事業主でも申請可能な助成金があるのです。

個人事業を開始するには

Subsidy
(写真=eenevski/Shutterstock.com)

個人事業主とは、法人格を持たず個人で会社の経営を行う、あるいは事業を展開する人を言います。個人事業主だからといって全ての事業を1人で行う必要はありません。個人事業主でも、アルバイトやパート、社員などの従業員を雇うことは可能です。あくまでも個人事業主は法人格がないだけで、会社の業態の一つとして社会的に認められています。

個人事業主は法人格よりも開業時の手続きは煩雑ではありません。個人事業の開業・廃業等届出書を記入し、申し込んで受理されれば、開業することができます。これは、個人の立場を問いません。また、俗にいう事務や会計処理などは、法人格の会社とは異なります。個人事業の場合は、確定申告は必要になります。所得税の青色申告承認申請書を出しておけば、最大で65万円の控除を受けられます。そのため、開業時には青色申告承認申請書も一緒に届出ができるのか確認しておきましょう。ちなみに、青色申告承認申請書は開業から2ヵ月以内に提出、複式簿記を使って65万円の控除をすることがポイントです。

また、法人格と個人事業主の異なる点は、その働き方にあります。個人事業主であれば、法人格の会社と違い、自分の時間配分で進められ、納品した内容に沿った対価を受けることができます。事業経営が上手くいくとは限りませんが、上手くいった場合は法人格の会社で従業員として働くよりも金銭的な余裕が生まれる可能性もあります。

個人事業主が申し込める助成金

助成金は共に国や地方公共団体から、無償で付与されるものであり返還の義務はありません。助成金は、申請し規定を満たしていればほぼ受け取ることができます。

例えば、若者雇用促進法に基づく認定事業主が35才未満の対象者に対してトライアル雇用を実施する場合、奨励金の対象となっています。これも、助成金の一種であり、最長で3ヶ月、月額4万円ずつ受け取れます。ただし、父子家庭や母子家庭の場合は月額5万円になるなど、支給額が異なる場合があります。支給要件が細かく決まっていますので、必ず予め確認しましょう。

人材開発支援助成金も知っておきたい助成金です。人材開発支援助成金は特定訓練コース、一般訓練コース、キャリア形成支援制度導入コース、職業能力検定制度導入コースの合計4つのコースがあります。それぞれのコースでの助成要件や支給金額が異なります。

加えて、人材開発支援助成金は手続きの期限が決まっています。実際の訓練開始日の前日から起算して1ヵ月前までに「訓練実施計画届」などの必要書類を各労働局に提出します。そして、訓練終了後2ヵ月以内に『支給申請書』と必要書類を労働局に提出します。期限が決まっているので、忘れないようにしましょう。

また、個人事業主にも共済制度があります。個人事業主が中小企業退職金共済へ加入することで、助成金が受け取れるかもしれません。新規加入のうち、月額の掛金の1/2の上限5,000円までを加入後4ヵ月目から1年間助成されます。ただし、短時間の労働者の中で月額の掛け金が4,000円以下の人は掛け金の1/2に更に上乗せになります。また、月額の掛け金1万8,000円以下の従業員が掛け金を増額すると、増額分の1/3が1年間助成されます。ただし、2万円以上は対象外のため、ご注意ください。

これ以外にも、「特定求職者雇用開発助成金」、「地域雇用開発助成金」などが個人事業主が受けられる助成金として挙げられます。

助成金に限らず、全てに共通することですが、国や地方自治体の方針は年ごとに変化していきます。そのため、助成金を申請する時は、よく調べてから申請しましょう。

助成金を活用しよう

事業には資金が必須です。しかし、個人ではどうしても手が回らず、体制を整えるだけでもかなりの資金を要します。申請の条件もありますが、国や自治体の制度を活用し、助成金を利用しましょう。そうすることで、資金的に頭を悩ますことや、制度面で苦労することも少なくなるはずです。(提供:ビジネスサポーターズオンライン)

※当記事は2017年7月現在の情報に基づき制作しております。最新の情報は各関連ホームページなどをご参照下さい。