コアCPI上昇率は1%弱で頭打ちの公算

17年9月の東京都区部のコアCPIは前年比0.5%(8月:同0.4%)となり、上昇率は前月から0.1ポイント高まった。事前の市場予想(QUICK集計:0.5%、当社予想は0.6%)通りの結果であった。

ガソリン(8月:前年比9.9%→9月:同8.3%)の上昇幅は縮小したが、灯油(8月:前年比12.9%→9月:同13.4%)、電気代(8月:前年比8.2%→9月:同9.5%)、ガス代(8月:前年比6.0%→9月:同8.9%)の上昇幅が拡大したため、エネルギー価格の上昇率が8月の前年比7.7%から同9.2%へと拡大した。

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また、テレビ(8月:前年比▲13.5%→9月:同4.5%)、携帯型オーディオプレイヤー(8月:前年比▲4.1%→9月:同0.1%)が上昇に転じ、教養娯楽用耐久財の下落幅が8月の前年比▲4.4%から同▲0.2%へと大きく縮小した。

一方、8月に上昇に転じた被服及び履物は再び下落に転じ(8月:前年比0.8%→9月:同▲0.3%)、コアCPIを押し下げた。
東京都区部のコアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が0.44%(8月:0.37%)、食料(生鮮食品を除く)が0.13%(8月:0.13%)、その他が▲0.07%(8月:▲0.10%)であった。

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ここにきて原油価格は上昇しているが、エネルギー価格の前年比上昇率は17年10月をピークに鈍化する可能性が高い。エネルギーによるコアCPI上昇率の押し上げ寄与は17年10月に0.6%程度まで拡大した後、17年度末にかけて0.2%程度まで縮小することが予想される。

今後は、需給バランスの改善や円安に伴う輸入物価上昇による上昇圧力を、エネルギー価格の上昇率鈍化が相殺する形となる。コアCPI上昇率は一時的に1%近くまで高まるが、1%に到達する前に伸び率が頭打ちとなる可能性が高いだろう。

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斎藤太郎(さいとう たろう)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 経済調査室長

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