証券口座を開設している人は2018年までに証券会社にマイナンバーを届け出る必要があるし、NISA口座を継続する場合は2017年9月までに届け出ないと継続できない。

しかし届出率が低迷しており、日本証券業協会(日証協)は届け出した人へ税を優遇する措置まで要望している。

証券会社へのマイナンバー届出率が低迷

マイナンバー,税優遇
(写真=PIXTA)

マイナンバー制度は2016年1月から開始された。社会保障・税の共通番号とも言われるが、株式・債券投資に関していえば、各顧客の特定口座年間取引報告書や利子・配当に関する支払調書を証券会社が税務署に提出する必要がある。

これらの書類にマイナンバーを記載する必要があるため、顧客に提出を求めており、顧客も2018年末までには届け出る義務がある。

しかし2017年6月時点に各証券会社で確認された届出率は、NISA口座開設者において5割~6割である。同年9月末までに届け出ないとNISAの継続がされないため届出に関する周知が進んできたが、証券会社は思うように進んでないと感じている。

日証協や証券会社のWebサイトに記載された利用目的が「証券取引に関する口座の申請・届出」「証券取引に関する法定書類の作成・提供」と分かりにくいところにも原因があるように思えるが、「監視強化のためのマイナンバー」という疑念から来る風説も悩みの種である。

金融所得課税の現実の流れとは逆行した風説も

風説の1つに、「国は個人資産残高の総把握を目的とし、いずれ金融所得に対して総合課税をもくろんでいる」というものがある。資産残高については、介護サービスの利用など一部の社会保障制度でマイナンバー管理に向けた動きがあるのは確かだが、マイナンバー提出者全員の残高を捕捉する動きはない。

また生活保護の受給(予定)者であれば、従来から資産状況が審査対象になるため資産把握にマイナンバーを活用することは当然考えられる。もともと審査段階・受給中に口座照会は行われ、資産隠しを行って受給すれば不正受給になる。

証券業界も「資産」でなく「所得」結びつけを主目的にマイナンバーを取得していることを分かりやすく周知していないように見える。

金融所得の総合課税化に至っては、一部有識者が主張しているものの現実の流れと逆行している。ビットコインに関しては、総合課税の雑所得扱いになると国税庁は回答しており、最高税率55%(所得税・住民税を合算し、復興特別所得税は含まない。以降の税率も同様)になる。

しかしFX・デリバティブ取引は2012年に、国債・社債などの売却益はマイナンバー制度開始の2016年に総合課税から税率20%の分離課税に変更されており、ビットコインも変更の可能性がある。