先週の海外動向を振り返る
6日のNYダウは8日ぶりに小幅ながらも下落、前日比1ドル(0.0%)安の2万2773ドルで引けた。ハイテク比率の高いナスダック総合指数は過去最高値を更新。NYダウは週間では368ドル(1.6%)の大幅高で4週連続の上昇。週間の上昇率は日経平均と同率だった。
米9月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比で3万3千人減だったが、ハリケーンによる影響との見方が強く材料視はされなかった。むしろ、失業率が0.2ポイント減の4.2%と16年ぶりの水準まで低下、賃金上昇率が2.9%と改善していたことから、米利上げペースが加速するとの見方が拡まった。
米長期債利回りは一時2.40%と5カ月ぶりの高水準まで上昇、日米金利差拡大の思惑から、ドル円はNYで一時113円44銭と3カ月ぶりの円安水準をつけた。
もっとも、北朝鮮が米西海岸に届くミサイルの発射実験を準備しているとの報道から有事の円高となり、NY為替市場は112円70銭で取引を終えた。東京市場の引け値からは31銭程度の円高。
地政学リスクで日経平均先物の夜間取引も20650円と先週末の大阪先物引け比60円程度安と小安い。
「10/2~10/6」の株式展望
連休明けの今週の日経平均のメインシナリオは、2万0200円から2万1000円のレンジを想定している。地政学リスクは10日の北朝鮮の朝鮮労働党創建記念日を控えて予断を許さない状況だが、北朝鮮は経済的に追い込まれ始めており、本格的に挑発をするとは考えにくいというのが現在の市場の大方の見方となっている。
9月の日経平均は月間で710円高となり3.6%の大幅高だった。9月高は年末高のアノマリーがある。2000年以降で9月がプラスだった年は過去8回。そのいずれもが10〜12月期で上げており平均で10.3%の上昇となっている。一方、9月に下げたのは過去9回で10〜12月期は4勝5敗で平均1.7%の下落。機関投資家が9月に株のポジションを引き上げた場合、その影響が年内続くという見方が多い。
日経平均のPERは現在14.6倍程度。過去のレンジは14倍から17倍程度。15倍だと2万1225円程度が妥当水準であるが、9月決算が上方修正されるようだとその水準は切り上がる。 地政学リスク以外に盲点は見つけにくい状態だ。
総選挙は10日告示、22日投開票の予定。1990年以降の過去9回の解散総選挙で、投票日までの日経平均は8勝1敗と大きく勝ち越している。過去4回はいずれも上げており平均騰落率は+6.2%。
総選挙後は結果次第の株価の値動きとなることが多い。自民党が議席を大きく失えば下げる可能性もある。朝日新聞の10月4日の調査では、希望の党への期待は下がってきている。自民党は議席数を減らしても過半数は維持し波乱は起きないという見方が強い。
日本市場で取引高の約7割のシェアをもつ海外投資家が、9月4週(9/29の週)に現物を2018億円買い越し、10週間ぶりに買い越しに転じた。17年5月まで9ヶ月連続で日本株を売り越した国内金融法人の売りが6月以降止まり3ヶ月連続で買い越しとなっている。2万円を超える局面で出ていた金融機関からのまとまった利益確定売りが今回はあまり出てこない印象だ。
テクニカル的には、5日移動平均線が25日、75日移動平均線をゴールデンクロス後、上から5日、25日、75日と短期戦から順番に並ぶもっとも心地いい上昇パターンになっている。
仮に地政学リスクで下げたとしても累積出来高が多い2万200円どころでは押し目買い意欲が強いだろう。レジスタンスは15年6月高値の2万952円まで節目はない。これを抜くようならITバブル後の高値更新となり、96年以来11年ぶりの2万1000円台の大台替わりが見えてくる。
今週のイベントは、10日に衆院選公示、日銀支店長会議があり黒田総裁が登壇する。13日はミニSQ。海外では、10日にIMFが世界経済見直し、北朝鮮の朝鮮労働党創建記念日、11日に中国共産党7中全会開催、NAFTA再交渉第4回会合(〜15日)、米9月のFOMCの議事録、12日にG20財務相・中央銀総裁会議(〜13日)、13日IMF年次総会(〜15日)などが注目。
経済指標では、日本は10日に8月国際収支、9月景気ウォッチャー調査、11日に8月機械受注、12日に9月都心オフィス空室率の発表が予定されている。海外は13日の米9月消費者物価、米9月小売売上、米10月ミシガン大学消費者マインド指数などが注目されるが重要な指標は少ない。(ZUU online 編集部)