2017年3月15日、千葉県浦安市の舞浜エリアに「変なホテル 舞浜 東京ベイ」がオープンしました。H.I.S.ホテルホールディングスによる「スマートホテルプロジェクト」の一環として開業した同ホテルは、ローコストと快適性の両立を目指し、さまざまな最新技術を導入していることで国内外から注目を集めています。「世界初のロボットが働くホテル」としてギネスにも認定された、「変なホテル」の魅力はどのようなところにあるのでしょうか。

(写真=ekkasit919_Shutterstock.com)
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舞浜に誕生した「変なホテル」とは



「変なホテル 舞浜 東京ベイ」は、2015年7月に開業した「変なホテル ハウステンボス」(長崎県)に続く第2号店です。



2号店は、東京ディズニーリゾートが徒歩圏内という立地による客層を考慮して、エンターテインメント性を重視したサービスを提供しています。1号店に導入した女性型受付ロボットや顔認証システムを2号店では不採用とするなど、「変化し続ける」という意味が込められた「変なホテル」の名前のとおり、常に最適化を図っているのです。



「変なホテル」が目指すのはワクワクと心地よさ、そして究極の生産性の追求です。人工知能を搭載したロボットや先進技術を導入することでコストカットを可能としながら、従来の宿泊施設にはない快適性と遊び心を兼ね備えた、近未来的なホテルの実現を目標としています。

「変なホテル」流のおもてなし



ホテルのエントランスをくぐった先のロビーには、熱帯の木々がうっそうと生い茂っています。原寸大のティラノサウルスの模型が大きく口を開け、本物の水で満たされた水槽には関東のホテル初の魚ロボットが優雅に泳ぎ、入った瞬間からまさに「変な」空間です。



ロボットと聞くと無機質なイメージがありますが、「変なホテル」のロボットはチャーミングな印象です。ゴミを回収するロボットが愛嬌たっぷりに走り回り、フロント業務を担当する2台の恐竜ロボットは日本語をはじめ、英語・中国語・韓国語にも身振り手振りを交えて対応してくれる、頼もしいホテルマンたちです。鋭い眼光に尖った牙、どこか愛らしいまばたきなど、リアルな動きと鳴き声でゲストを楽しませてくれます。



すべての部屋には照明やBGMをコントロールする客室ロボット「Tapia」が設置されています。Tapiaは人工知能を搭載しており、利用者の顔や名前を認識できるだけでなく、会話のペースや内容によって通り一遍ではない、さまざまな応答が楽しめるロボットです。



ルームキーは音声認識やタッチパネルの操作によって自動で提供され、客室フロアの通路には掃除ロボット、窓には窓掃除ロボットが配備されています。ロボットがほぼすべての業務を担う「変なホテル」ですが、万一に備えてバックヤードには少人数の人間のスタッフも常駐しています。



1号店である「変なホテル ハウステンボス」では、過剰なサービスと光熱費の無駄を見直し削減することで、初年度から利益を上げ稼働率90パーセントという、ホテル業界では異例の結果を現実のものとしました。2号店では人間のスタッフの数はオープン当初から7名程度であるのに対し、ロボットの数は9種140体です。基本的な対応や清掃など8割の業務はロボットが行い、それだけでは行き届かない複雑できめ細かなサービスを人間のスタッフが補っています。

快適な滞在のための最新技術

「変なホテル」では、ロボット以外にも多くの最新技術を採用しています。



空調システムには、優れたエネルギー効率を持つ輻射パネルを導入しました。部屋全体を一定の温度に保ちながらも空気が乾燥しにくく、エアコンとハイブリッド運転させることにより、エコで快適な室内環境に一役買っています。



また一部の客室では、クローゼット型クリーニング機を設置しました。クローゼットの内部をスチームで満たすことで、コートやジャケットなど衣類の除菌・除臭、シワ取りや埃の除去まで行う優れものです。ドアに映し出されるタッチパネルで操作するというギミックも、このホテルらしい楽しさにあふれ、利用者を飽きさせません。



2017年8月には愛知県蒲郡市に3号店「変なホテル ラグーナテンボス」が開業し、長崎の1号店には同年秋に「ロボットバー」をオープン予定、さらには2018年夏までに大阪市、同年後半には上海に「変なホテル」を開業予定など、各地で話題が途切れない「変なホテル」。サプライズに満ちた娯楽性の高い空間演出と最新システム、そしてロボット導入による生産性の高さを可能にしたホテルのビジネスモデルとして、これからのホテル業界を牽引する存在となるかもしれません。

(提供:JIMOTOZINE)