千葉県柏市にある「柏の葉スマートシティ」は、東京都心から25キロメートルの位置に開発された新たな街です。つくばエクスプレスで秋葉原駅から30分という好立地にあり、柏の葉キャンパス駅を中心とし独自の発展を遂げています。
2000年より、元はゴルフ場であった273ヘクタールの広大な土地を三井不動産株式会社が開発を進め、千葉県や柏市、東京大学、千葉大学と共に次世代都市計画を作り上げました。2014年7月8日にはスマートシティの街区である「ゲートスクエア」を開業、以来商業施設だけではなく研究施設やホテル、コワーキングスペースなどが整備されています。
先進的な発展を続けるこの街の未来には何が待っているのか、「柏の葉スマートシティ」が歩んだこれまでと、これからの街づくりについて紹介します。
柏の葉スマートシティの概要
三井不動産が、未来の人類に共通する課題に取り組むべく始めた「柏の葉スマートシティ」の開発は、2005年8月24日に開通したつくばエクスプレスによって急加速しました。
そして2008年3月には、「柏の葉スマートシティ」の主軸となる「柏の葉国際キャンパスタウン構想」が、千葉県、柏市、東京大学、千葉大学によって発表されました。綿密に練られた構想によって未来都市の実現が現実味を増すと、この取り組みは大きな注目を集め始めます。
2011年12月、内閣府より「環境未来都市」と「総合特区」の指定を受けることで構想は着実に具現化し、その実績によって2017年現在までに国内外問わず数々の賞を受賞しています。
特に注目したいのが2017年、MIPIM(不動産プロフェッショナル国際マーケット会議)が行っている「The MIPIM Awards 2017」の「Futura Mega Project」部門で最優秀賞を受賞したことです。
「Futura Mega Project」とは、「将来的な大規模開発プロジェクト」を意味し、柏の葉スマートシティではその将来性と省エネルギーの取り組みなどが評価され受賞に至りました。これにより、2000年から始まったこの都市開発は現在既に一定の成果を上げ、それが世界的にも大きく評価されていることを示しています。
柏の葉スマートシティの取り組み
「柏の葉スマートシティ」では、「環境共生都市」「新産業創造都市」「健康長寿都市」というテーマを掲げ、当初よりそれぞれの課題に取り組んでいます。
・ 環境共生都市の取り組み
徹底した街づくりによって、緑あふれる美しい景観を保つこの街では、地域のエネルギー運用を行う「柏の葉スマートセンター」で常にエネルギーが管理されています。そのため、地域レベルで26%の電力ピークカットを可能にしているのです。自営の送電線を持ち、再生可能エネルギーや蓄電池を利用しているため、災害時でも中心街区ゲートスクエア内であれば3日間電力の供給が可能です。
・ 新産業創造都市の取り組み
東京とつくばの中間に位置しており、学術・研究ともに成長できる地力を持っています。特に研究開発型ベンチャーを中心としたスタートアップの支援を、オフィス空間「KOIL『柏の葉イノベーションラボ』」を拠点に行っています。
・ 健康長寿都市の取り組み
住民は健康管理のためのアドバイスを無料で受けられるほか、ライフレコーダーによって日々の活動量や睡眠時間などの生活リズムを専用タブレット、スマートフォン、パソコンによって確認できます。
その他、病院や学術機関が協力し、先進医療や予防医療の研究が進められているのも特徴です。
柏の葉スマートシティのこれから
2006年11月20日、まだ何もない土地に「UDCK『柏の葉アーバンデザインセンター』」がオープンしたところから始まった柏の葉スマートシティの街づくり。公(千葉県と柏市)、民(三井不動産株式会社)、学(東京大学と千葉大学)が連携しここまで発展を遂げたこの街は、さらにここからどのような未来を目指していくのでしょうか。
これまで柏の葉キャンパス駅を中心として開発が進められてきましたが、これからは第2ステージとしてゲートスクエアの北側を重点エリアとし、さらに拡大していきます。
現在、サービスの向上と住民増加に向けた三井不動産の取り組みとして、ゲートスクエア内において2017年には分譲マンションが竣工、2018年には賃貸住宅が竣工予定です。第2ステージの開発は2030年までに完成予定となっており、現在でも規模の拡大と開発を進めています。
「柏の葉スマートシティ」を作り上げる「公・民・学」それぞれは、人とテクノロジーが共生する「国際学術都市」として、また人と地球が共生する「次世代環境都市」として進化し、人類の抱える大きな課題とこれからも向き合い続けていくでしょう。
(提供:JIMOTOZINE)