2017年5月の千葉市長選で3期目の当選を果たした熊谷俊人氏。熊谷氏は、2009年に千葉市長選に立候補して当選しました。31歳の市長は当時全国最年少記録です。



従来の政治家のイメージを覆す斬新な改革を積極的に行い、市債残高600億円以上を削減したり、大規模なイベントを千葉市に誘致したりと市長として大きな成果を挙げています。メディア運用に長けた熊谷市長によるTwitterを利用した情報発信は、行政だけでなくマーケティングの観点からも注目されているのです。



今回は、Twitterを市政に活用する千葉市・熊谷市長の取り組みを紹介します。

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)

SNSを利用した政治家の情報発信



アメリカのトランプ大統領をはじめ安部首相など、政治家の多くは自分の考えを大多数に直接発信できるTwitter等のSNSを積極的に利用しています。



テレビや新聞でインタビューを受けた時に自分の意図しない切り取り方で報道をされ、思ってもいないような切り口で批判を受けることがあります。そのような誤解を防ぐためにも、自分の意見を直接発信できる媒体を持つことが必要になってきます。



自分の意見を直接配信できる媒体として、すぐに思い浮かべるのはやはりSNSでしょう。日本で約4,000万人の利用者数がいるというTwitterは、数あるSNSのなかでも強力なメディアの一つです。



千葉市の熊谷市長は、Facebookやブログ等も使って情報発信をしていますが、特にTwitterに力を入れています。では、そのTwitterをどのように活用しているのでしょうか。

市民が気軽に市長とつながるためにTwitter上での交流会を開く



熊谷市長がTwitterを活用している理由は、従来のやり方では拾い上げることができなかった千葉市民の意見を聞くためです。



一方的に自分の考えや政策を伝えるだけでは、Twitterの機能を十分に生かしているとはいえません。Twitterの優れた機能の一つとして、影響力がある著名人に向けて一般人が直接メッセージを送ることができる点が挙げられます。



熊谷市長は、Twitterの機能を生かして千葉市民の声を直接聞くために、Twitter上での交流会を開くことを考えました。つまり市民の声が市長のところに直接届くことになるのです。



今までの行政の対応では、一市民の考えを市長に伝えようとするまでには、署名を大量に集めたり、各所を回ってアポイントを取り付けたりする必要があり、非常に労力がかかりました。対して、熊谷市長が開くTwitter交流会「#kuma2017」では、Twitter上にコメントをアップするだけで、市長に対して自身の考えを伝えることができるのです。熊谷市長のTwitter交流会は、市民がより気軽に市政に参加しやすい仕組みを作った、画期的な取り組みといえます。このように市民の声が行政に届きやすくなったことで、市民の市政への参加意識も以前とは比べ物にならないくらい高くなっているでしょう。

色々な意見に耳を傾け、批判を恐れず発信を続ける



Twitter上のやり取りを公開することのデメリットは、意図していない捉えられ方をされて批判されることです。



熊谷市長も「男性保育士を女の子の園児から担当を外す」とTwitter上で発言した際には、ユーザーから厳しい意見を投げかけられ、非常に多くの注目を集めました。しかし、厳しい意見や否定的なツイートに対しても、千葉市の市長としてどう考えているのか、なぜ市として対応できないのかという理由を明らかにし、きちんとした対応をしています。



Twitterの情報発信を見るだけでも「多様な市民の意見を拾い上げる」ということを常に意識して市政に向かう熊谷市長の真摯な姿勢が伝わってきます。

「自ら伝え、自ら聞く」ことでより良い千葉をつくる



熊谷市長のTwitterフォロワー数は、2017年9月現在で13万人を超えています。この数字は、千葉市より巨大な大阪市長や名古屋市長の倍以上です。いかに熊谷市長の取り組みが注目され、千葉市の市政に目が向けられるようになったのかがわかります。



Twitterをはじめとするメディア活用術は、熊谷市長が最も大切にする「自ら伝え、自ら聞く」の実践における一形態でしかありませんが、このメディア活用によって千葉市民だけでなく全国の人々まで千葉市の取り組みに目を向けつつあります。



熊谷市長が掲げるマニフェストである「ともに進めよう!未来へつなぐ まちづくり」に向けて、千葉市が市民と共にどのような政策を実行していくのか注目です。

(提供:JIMOTOZINE)