久留米絣や久留米籃胎漆器など、歴史あるものづくりで知られている久留米市。食の分野では久留米ラーメンが有名ですが、実は「酒どころ」としても人気があり、新酒を味わえるイベントには観光バスで団体客が押し寄せるほどの盛り上がりを見せています。

酒どころ・久留米の魅力

(写真=PIXTA) (写真=PIXTA)

久留米市では日本酒・焼酎・ワインなど、豊かな自然環境を生かした酒造りが行われています。特に城島は、筑後川の水源と大粒の筑後米に恵まれた日本有数の酒どころで、古くから酒造りが盛んな地域です。6月に開催されたフランス初の日本酒審査会「蔵マスター」では、城島の「杜の蔵 純米吟醸 翠水」がプラチナ賞に選ばれるなど、日本だけでなく海外でも高く評価されています。

他にも久留米産の原料のみを使用し地産地消にこだわった焼酎、特産品であるフルーツを活かして地元のワイナリーで製造されるワインなど、酒好きも唸る銘品が揃っています。

そんな久留米市は、ただ酒を製造・販売するだけにとどまらず、近年ではイベントを通じて消費者を現地に呼び込む取り組みが活発となっています。良質で新鮮な酒を味わい、久留米市の魅力を再発見してもらおうとしているのです。酒は久留米市の地域活性化のカギとしても、大きな財産となっています。

日本酒好きなら常識?城島酒造蔵びらき

毎年1月から4月にかけて福岡の各地で行われる酒蔵開きの中でも特に大きなイベントで、県内外から多くの人が集まるのが久留米市城島の「城島酒蔵びらき」です。毎年2月に開催され、第23回となる2017年には約11万人もの来場者で賑わいました。

城島とは、久留米市南部の城島町・三潴(みずま)町を中心とする地域のことです。「城島酒蔵びらき」では、9つの蔵元が造る自慢の日本酒を堪能することができます。飲み比べチケットを買って気になるお酒をたくさん試すもよし、お燗で温まるもよし、角打ちで酒談議に花を咲かせるもよし。日本酒だけでなく、「新・元気鍋」や地域特産品・農産物の販売、和太鼓の演奏など、楽しみも盛りだくさんです。

また「城島酒蔵びらき」では、誰でも気軽にお酒を楽しめるよう、駅や総合案内所と各酒蔵、メイン会場を結ぶ無料シャトルバスを運行します。さらに西鉄グループでは、西鉄大牟田線の乗車券と酒蔵びらきクーポン券をお得なセットにした「城島酒造よかとこきっぷ」が販売されるなど、各方面から注目されているイベントです。

名産フルーツを使った田主丸のワイン

福岡県随一のフルーツの産地、久留米市田主丸(たぬしまる)町では、ブドウやイチジク、柿などの栽培が盛んです。特にブドウは、120もの農家がある一大産業となっています。また、巨峰開植の地・観光巨峰園発祥の地としても知られています。

7月から9月はブドウ狩りのシーズンで、どのブドウ園も家族連れで賑わいます。田主丸の水はけのよい斜面を利用した露地栽培だけでなく、気候に左右されにくいハウス栽培やトンネル栽培のブドウも人気です。ブドウ園ではそれぞれ入口で無料の試食を行っているため、お気に入りのブドウ園をじっくり探すことができます。

お酒好きなら、名産のフルーツを使ったワインを造るワイナリーも見逃せません。巨峰100%のワインをはじめ、ブルーベリーやあまおう苺、キウイなどを使用した果実酒も好評です。発酵途中の「ワインの赤ちゃん」を楽しめるのもここならではでしょう。

9月には、田主丸特産のワインを身近に感じられる「巨峰ワイン祭り」も開催されます。2017年で19回目を迎えたこの祭りでは、子どもから大人まで楽しめる足踏みジュース搾り体験やバンド演奏、限定ワインの試飲販売などで毎年盛り上がりを見せています。

2005年に城島町、三潴町、北野町、そして田主丸町が合併し、さらにパワーアップした久留米市。おいしいお酒を造り続けることだけに留まらず、イベントを通じてお酒の文化を守り、伝え、地域を元気にする取り組みは、今後もさらに発展を続けていきそうです。


(提供:JIMOTOZINE)