投資で成果をあげるためには、売買するタイミングが重要になる。売買タイミングがキャピタルゲインの源泉であり、インカムゲインを狙った投資であっても、その資産を売却する際、受け取ったインカムゲイン以上にキャピタルロスが発生してしまえば元も子もない。
例外はあるものの、長期的に見ると、株価は企業業績に、為替はその国の経済力や金利に即した動きになると言われている。一方で、短期的には、株価も為替も、上記と無関係な動きをすることもある。
そこで活躍するのがテクニカル分析だ。難しそうな印象のあるテクニカル分析だが、まずはきちんとした手法を押さえることが重要となる。今回は、テクニカル分析拒絶症の人向けに、押さえるべき2つのポイントを解説していく。
テクニカル分析とファンダメンタルズ分析
投資の分析手法は、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析に大別することができる。
テクニカル分析とは、過去の値動き (チャート) や出来高のパターンを分析し、これからどう動くかについて予測する方法である。基本的には「市場価格には投資家のありとあらゆる心理や情報が織り込まれている」という考え方が根底にある。
一方、ファンダメンタルズ分析とは、経済活動の基礎的条件 (ファンダメンタルズ) を基に分析する手法だ。市場価格と、基礎的条件から導き出された本質的価値にギャップが生じていたとしても、いずれは市場で本質的価値が実現されるという考え方が根底にある。特定の国や地域を分析する際は、GDP成長率やインフレ率、経常収支、人口動態などの指標を用いることが多い。また、株式 (特定の企業) を分析する際は、企業業績や財務諸表を用いることが多いようだ。
テクニカル分析とファンダメンタルズ分析、どちらに重点を置いて取引をするかは、それぞれの投資家によって異なる。一般的に、投資期間が長期になる場合はファンダメンタルズ分析を重視し、デイトレーダーなど短期的な視点の投資の場合は、テクニカル分析を重視する傾向があると言える。
騰落レシオとRSI
テクニカル分析の指標として、今回は株式投資における「騰落レシオ」と「RSI」に注目してみよう。テクニカル分析に利用する指標は他にもさまざまあるが、テクニカル分析ビギナーはまずこの2つを押さえて、段々と使える指標を増やしていけばいいだろう。
1. 騰落レシオ
「レシオ」とは比率を意味している。買われすぎ、売られすぎなどの市場の過熱感を表す指標で、次の式で求められる。
騰落レシオ (%) =過去n営業日の値上がり銘柄の数÷過去n営業日の値下がり銘柄の数×100
nに入れる日数を変えることで、短期にも長期にも対応できるが、一般的には「過去25営業日の合計」で計算することが多い。
算出により騰落レシオが100%となった場合は、相場が均衡状態と分析できる。一般的には、騰落レシオが120%より大きくなると「買われすぎ=過熱感があって天井が近い」といわれており、騰落レシオが70%より小さくなると「売られすぎ=底打ちが近い」といわれている。
騰落レシオの注意点としては、各銘柄の上昇幅や下落幅を考慮していないことが挙げられる。例えば、多くの銘柄が1円でも上昇したら、それは騰落レシオの上昇原因になってしまう。極端な例だが、日経平均株価への寄与度が高い少数の銘柄が大暴落し、日経平均が大幅下落になったとしても、その他の多くの銘柄が1営業日1円ずつ上昇を続けていたら、騰落レシオの数字は大きくなってしまうのだ。
2. RSI
Relative Strength Indexの略語で、相対力指数を意味している。RSIは売られ過ぎの状態・買われ過ぎの状態を見極める指標の一つだ。RSIは次の式で求められる。
RSI (%) =過去n営業日の値上がり幅の合計÷ (|過去n営業日の値上がり幅の合計|+|過去n営業日の値下がり幅の合計|) ×100
RSIは、0~100の間で推移する。一般的に、RSIが70%より高くなれば「買われすぎ」のサイン、30%より低くなれば「売られすぎ」のサインだといわれている。特に、株価とRSIが反対の方向に動く現象 (逆行現象) が起こると、株価トレンドの終了を示唆すると言われている。
RSIの注意点としては、「売られすぎ」のゾーンに達したとしても、株価の下落トレンドが強いときは、さらに下落を続けることもある。これは「買われすぎ」ゾーンに関しても同様だ。特に逆張り投資のエントリータイミングを図っているときはこの点に注意したい。
テクニカル分析を習得して自分のスタイルを確立しよう
テクニカル分析にはさまざまな指標がある。上手に収益を得るには、それぞれの指標について理解して、自分らしいスタイルを確立することが大切だ。まずは騰落レシオとRSIを利用して、売買のタイミングをつかんでみてはいかがだろうか。
(提供: 大和ネクスト銀行 )
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