株式市場が力強い動きです。10月の日経平均株価は途中16連騰という過去最長の連騰記録を残して終了。月末終値は1996/7以来21年3ヵ月ぶりの22,000円台となりました。世界的な株高や好調な企業業績等が要因とみられます。

そこで今回の「日本株投資戦略」では、後半戦を迎える今年度「中間決算」の発表を経て、会社計画を上回る利益や業績予想の上方修正が期待でき、株価上昇が見込める銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。

決算発表は後半戦!上方修正・株価上昇が期待できる銘柄はコレ!?

それではさっそく、「中間決算」後半戦において、会社計画を上回る利益や業績予想の上方修正が期待でき、株価上昇が見込める銘柄をスクリーニングにより抽出してみたいと思います。対象は3月決算の主力銘柄です。

(1)時価総額1,000億円以上の上場銘柄であること
(2)3月決算銘柄(実績ベース)であること
(3)金融以外の銘柄であること
(4)3人以上のアナリストが業績予想を公表している銘柄であること
(5)第1四半期(2017年4~6月期)の営業増益率が今期(2018年3月期)の会社予想増益率を上回っていること(表1のB>C)
(6)今期の業績予想について、市場予想(Bloombergコンセンサス)が会社予想を上回っていること(表1のD>C)
(7)今期予想EPS(Bloombergコンセンサス)が黒字で、過去4週間に1%超増加している銘柄であること
(8)来期(2019年3月期)に5%以上の営業増益が予想(Bloombergコンセンサス)されている銘柄であること
(9)決算発表予定日が11/6(月)以降であること

第1四半期の決算が本業の利益を示す営業利益ベースで好調で、通期についてもアナリストの業績予想が会社予想よりも強気な数字になっている銘柄は、通期で好決算になる可能性が大きいと「日本株投資戦略」では考えています。

(7)の条件が付加されることで、直近4週間にアナリストによるその会社に対する業績見通しがさらに強くなっているとみなされ、好業績となる確度が高まると考えられます。また、(8)の条件が付加されることで、業績面では今期がピークになってしまう銘柄を抽出してしまうリスクを小さくすることが可能であるとみられます。

決算発表は後半戦 上方修正・株価上昇が期待できる銘柄はコレ

表1:決算発表は後半戦!上方修正・株価上昇が期待できる銘柄はコレ!?

コード / 銘柄 / 株価(11/1)(A) / 1Q営業増益率(B) / 予想営業増益率今期会社(C) / 予想営業増益率今期市場(D) / 予想営業増益率来期市場(E)
<1860> / 戸田建設 / 937 / +2.3% / -24.0% / +14.7% / +9.0%
<5021> / コスモエネルギーホールディングス / 2,681 / -4.0% / -37.6% / -19.9% / +26.7%
<4114> / 日本触媒 / 8,520 / +34.6% / +8.7% / +23.8% / +9.3%
<3099 / 三越伊勢丹ホールディングス / 1,234 / +12.8% / -24.8% / -15.6% / +14.0%
<9375> / 近鉄エクスプレス / 1,983 / +52.7% / +3.3% / +14.9% / +19.0%
<6258> / 平田機工 / 12,950 / +109.3% / +9.1% / +20.0% / +8.4%
<1721> / コムシスホールディングス / 2,924 / +162.7% / +13.8% / +24.6% / +6.3%
<3088> / マツモトキヨシホールディングス / 8,250 / +14.5% / +2.9% / +12.3% / +6.8%
<7251> / ケーヒン / 2,118 / -8.8% / -12.9% / -5.7% / +8.7%
<2296> / 伊藤ハム米久ホールディングス / 1,097 / +19.2% / +4.9% / +11.4% / +9.4%

スクリーニングの注意点は?

中間決算の発表は後半戦を迎えます。決算発表の前後に業績予想の修正等で株価が大きく振れる可能性がありますので注意が必要です。保有または売買を検討している銘柄については、少なくとも決算発表予定日等のチェックはしておいた方が良さそうです。なお、SBI証券のWebページでは決算発表スケジュールや個別企業の決算発表予定日を調べる便利な機能がありますので、ぜひご利用ください。

今回のスクリーニングでは、第1四半期の実績を重視し、好調なスタートを切った企業は通期でも好業績を達成しやすいという考え方が前提になっています。10/2(月)に発表された日銀短観では多くの業種の業況判断指数が、3ヵ月前に想定していたよりも上振れていましたので、一般的には7~9月に業況が悪化してしまった企業は少ないと思います。したがって、第1四半期に好調なスタートを切った企業の業績は上振れやすいと考えられます。今回のスクリーニングでは、さらにアナリストの予想が、過去4週間で強くなっていることや、会社予想を上回っていることも条件にしていますので、業績下方修正リスクは小さいとみられます。

10/6付の「日本株投資戦略」では前項のスクリーニングとほぼ同じ条件で銘柄を抽出しました。その中には日立建機 <6305> や、安川電機 <6506> も含まれており、それらは好業績を背景に株価も上昇しました。

しかし、リコー <7752> のような銘柄も含まれていました。7~9月期に業績が一転悪化してしまう銘柄も含まれてしまうリスクには注意が必要です。また、アナリストの業績予想が強過ぎ、好決算を発表しても「好材料出尽くし」になってしまうケースもあります。したがって、スクリーニングにより抽出された銘柄でも、一応の注意は必要になります。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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