電子マネーの普及でキャッシュレス化が進んでいる現代社会において、小銭で少額決済を行うことが少なくなってきている。硬貨を手にする機会も段々と減ってきているかもしれない。しかし、そんな硬貨には、実は長い歴史や隠された秘密があるのをご存知だろうか。今回は硬貨にまつわるトリビアについてお伝えしたい。
硬貨に関するマネートリビア
かつては物々交換により、一定の価値のあるものがお金の代わりに利用されてきた。しかし、その物々交換に関わる人が増えていくにつれて、持ち運びや保存場所など不都合な場合も多くなっていった。そこで考えられたのが貨幣というシステムである。
貨幣として流通するためには万人に等しく価値があることが必要である。やがて貨幣は、金や銀など、素材そのものに価値があるもので作られるようになった。だが貨幣の量が多くなるに従って、これらの素材の量が足りなくなっていく。そこで、貨幣に一定の通用力 (信用力) を持たせることによって、あたかもその額面の価値があるようにしているのが現代の貨幣である。
硬貨に関しては、明治時代以降すべて円形となっている。これは、円形の方が四角形のものに比べて使用するときに便利であること、角がないため摩擦が少なく済むこと、大量生産する上で好都合とされたためだ。世界で流通している硬貨の形はさまざまだが、円形のものをよく見かけるのは共通の理由があるためだと推測できる。
5円硬貨や50円硬貨に穴があいているのは、他の硬貨との識別を容易にすることや偽造防止を目的とされている。もっとも、昔は円形の硬貨に四角の穴だった。そして、硬貨には表と裏の区別がなく、法的な決まりもなかった。現代では年号のある方が裏で、反対側が表として運用されている。
次に個別の硬貨について見ていこう。
● 1円玉
明治時代の貨幣制度においては、金本位制を採用しており、1円=金1.5グラムの1円金貨を発行していた。現代社会において流通している1円玉は純アルミニウムを素材としており、1グラムで製造されている。直径は20ミリメートル。1955年から発行されている。デザインは一般公募によって選ばれたもので若木が描かれている。
● 5円玉
5円玉の素材は黄銅で、銅と亜鉛によって作られている。直径は1円玉よりも若干大きい22ミリメートルで、重さは3.75グラム。現在発行中のものは1959年に発行された。表には稲穂と水、穴に合わせて歯車のデザインが描かれている。裏は双葉である。
● 10円玉
10円玉の素材は青銅で、古いものと新しいものの色の違いが顕著であることも特徴的だ。銅と亜鉛、すずなどによって作られている。直径は23.5ミリメートルで4.5グラムである。近年に発行されたものは外周がツルツルだが、ギザギザで発行されていたこともある。表の平等院鳳凰堂の周囲にあるのは、ふろしきでよく用いられている唐草である。
● 50円玉
白銅を素材としており、銅とニッケルで作られている。重さは4グラムと10円玉よりも軽い。直径も21ミリメートルと10円玉や5円玉より小さい。1955年に初めて作られたときは穴があいておらず、100円玉よりも大きかった。100円玉が作られた際に紛らわしいとされ、今のデザインになった。今の50円玉は1967年より発行され、表には公募によって選ばれた菊が描かれている。
● 100円玉
素材は50円玉と同じく白銅で、銅とニッケルで作られている。以前は銀を使っていたが、銀の価値が高くなったため白銅に変更された。重さは4.8グラムで直径は5円玉よりも若干大きい22.6ミリメートルである。こちらも1967年より発行されている。表に桜が描かれている。
● 500円玉
500円玉は他の硬貨に比べて新しく、現在発行中のものは2000年からである。ニッケル黄銅を素材としており、銅、亜鉛、ニッケルによって作られている。7グラムで直径26.5ミリメートルと比較的大きめである。しばしば偽造され、微細点加工という最先端技術を使用して改良が行われている。さらに大量生産型の貨幣では世界初となる斜めになったギザが側面にある。表は桐の葉、裏には橘と竹をデザインしている。
さまざまな歴史を持つ貨幣
硬貨はそれぞれ歴史を持っている。よく観察してみると、デザインも実は細かく描かれていることに驚くことだろう。ちょっと財布の中の硬貨を確認して、その歴史を味わうことも一興だ。改めてお金の価値を認識するいい機会だろう。
(提供: 大和ネクスト銀行 )
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