*推論の基本として、「演繹 (えんえき) 法」と「帰納 (きのう) 法」の二種類がある。これらの考え方は、投資行動にも役立つものとなっている。そのため今回は、この二つについて解説していきたい。
演繹法と帰納法の違い
演繹法とは「一般論などのルール」と「特定の事象や事項」の二つを結びつけることによって、そこから結論を出す手法をいう。
例えば、A鉄道会社の鉄道には「女性専用車両は女性しか利用することができない」というルールが定められていたとする。そして、「Bは男性である。女性ではない」という観察事項がある。この2つから、「Bは女性専用車両を利用することができない」という結論を導き出すことができる。
これに対して帰納法とは、ルールや事象 (事項) から結論を出すのではなく、複数の観察されたことについて、その共通点に着目して結論を出す方法をいう。
例えば、「東京都の子どもの体力が低い」「千葉県の子どもの体力が低い」「神奈川県の子どもの体力が低い」という観察事項から「首都圏の子どもの体力は低い」という共通点が導き出される。もっとも、演繹法とは異なり、帰納法は結論が複数出ることがある。上記の例については「東京湾沿いの子どもは体力が低い」という結論を出すこともできる。そのため、帰納法でより良い結論を出すためには、ある程度の知識や想像力が求められるだろう。
演繹法と帰納法を投資行動に活用しよう
実際に、演繹法や帰納法を投資行動に活用するにはどうしたらいいのだろうか。いくつか例を挙げてみよう。
・ 演繹法を利用した投資行動
例えば、「投機的格付けであるBB以下の債券については投資を控えるべきだ」というルールが存在するとする。そこで、「投資しようとしているA会社の債券格付けはBである」という場合、「A会社の債券には投資すべきではない」と判断できる。反対に「A会社の債券格付けはAである」という場合は、「A会社の債券に投資をしても良い」と判断できるだろう。
違う例を出してみよう。「為替相場が円安傾向になっているときは輸出関連の日本株が上昇しやすい」というルールが存在するとする。為替相場が円安傾向になっているときに「自動車会社Aの海外売上比率は7割を超えており、諸外国に自動車を輸出している」場合は、「自動車会社Aの株価は上昇する可能性が高い」と推論することができる。
・ 帰納法を利用した投資行動
帰納法を利用する例としては、「不動産会社Aの株式が伸びている」「不動産会社Bの株式が伸びている」「不動産会社Cの株式が伸びている」という場合、「不動産会社Dの株式も伸びる」として不動産会社Dへ投資を行うというものである。 投資に推論を生かしてみる
もっとも、演繹法も帰納法も推論にすぎない。上記のような推論を組み立てるとき、どのようなことに気をつければいいのだろうか。 どちらにも当てはまることとして「論理展開に使用した情報が本当に正しいかどうか」が挙げられる。この部分に甘さがあると、論理展開がいくら正確であっても、導き出される結論も間違っている可能性が高い。特に演繹法においては、前提となる一般論やルールが間違っていると、その後の論理展開が全て間違ってしまうことになる。
また、帰納法においては「サンプル数」にも気を配りたい。上記の不動産会社の例では、A、B、Cの3サンプルから結論を導き出したが、この3社だけで結論を出してよいものか、慎重に判断したいところだ。
投資は、将来の値動きを推測しながら、値上がりの可能性がある先に投資することによって、リターンを得ることが重要になってくる。投資には推論がある程度必要であるため、演繹法や帰納法をうまく生かして投資に役立てていきたい。(提供:大和ネクスト銀行)
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