近い将来、AIが人間の能力を超える“シンギュラリティ”が実現する。シンギュラリティを待望もしくは警戒する一方で、AIとどのように共存していくかという議論はいまだ十分とは言えない。
AIという尽きせぬテーマに対しクリエイターたちは、想像力を駆使してさまざまな解を提示してきた。本記事では、今だからこそ観たいAI映画作品11選を紹介する。シンギュラリティが起きたとき、そこに広がるのは人類がより豊かな生を手に入れたユートピアか、はたまた人類がAIに支配されるディストピアか。
カルト的SF映画の30年後の世界を描く 『ブレードランナー 2049』
1982年に公開された映画『ブレードランナー』は、近未来社会をレトロかつ退廃的に描いた世界観が今なおカルト的な人気を集めている。待望の続編となる本作は前作から30年後の世界を舞台に、人造人間レプリカントと捜査官ブレードランナーの戦いを描く。
2049年のLA。LA市警のブレードランナー・Kはある事件をきっかけに、レプリカントを開発する巨大企業の陰謀を知る。人間とレプリカントの境界を分けるものはあるのか? 前作でブレードランナー・デッカードを演じたハリソン・フォードが物語の鍵を握る男として再び登場する。
http://www.bladerunner2049.jp/
日本公開年:2017 製作総指揮:リドリー・スコット 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 出演:ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード
プログラミングされた愛は永遠に変わらない『A.I.』
感情や愛情を与えられたAIをテーマとする本作は今あらためて見直したい作品だ。恋愛としての愛情ではなく、親子の愛情であるところが新しい。
不治の病にかかった息子を持つ夫婦に少年型ロボット“デイビッド”が与えられる。息子の代わりとしての役割を果たすため実験的に愛情をプログラミングされたデイビッドは、夫妻と本当の親子のような絆で結ばれるようになる。だが、夫妻の実の息子の病が奇跡的に回復し、用済みとなったデイビッドは森に捨てられてしまう。
人間の愛情はときに身勝手で移ろいやすいが、プログラミングされたAIの愛情は揺らぐことがない。絶対的な愛を求めることの是非についても考えさせられる。
日本公開年:2001 監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント、ジュード・ロウ
音声だけのAIとの恋のゆくえは?『her 世界でひとつの彼女』
人間とAIとの恋愛は現実のものになりつつある。相手がAIであっても恋する気持ちは本物なのか? すべては幻想に過ぎないのか? 問いかけるのが本作だ。
妻と別れ、孤独な日々を送る代筆ライターのセオドアはある日、AI型音声アシスタント“サマンサ”に出会う。AIとはいえ人間の女性以上に女性らしく魅力的なサマンサ。サマンサが声だけの存在であっても、セオドアは次第に彼女への想いを募らせていく——。
セクシーで魅惑的なサマンサの声はスカーレット・ヨハンソンが担当。ヨハンソンは声の演技でローマ国際映画祭最優秀女優賞を受賞。声のみの出演では史上初となる。
日本公開年:2014 監督・脚本・製作:スパイク・ジョーンズ 出演:ホアキン・フェニックス
ロボットの姿でも人として愛せるか?『エクス・マキナ』
デウス・エクス・マキナとは、「機械仕掛けの神」を意味するラテン語だ。本作は美しい女性の姿をしたAI搭載ロボットとプログラマー青年の異種間恋愛を通奏低音に、神に迫ろうとする人間の野望を描く。
世界最大のIT企業で働くケイレブは社長の極秘プロジェクトに協力することになる。「相手がロボットの姿でも人間性を感じられるのか」というテストだという。女性型ロボット“エヴァ”に引き合わされたケイレブは彼女と恋に落ちていく。そんな彼にエヴァはある警告を発する。
ミニマムでスタイリッシュな映像が評価され、アカデミー賞視覚効果賞を受賞。半身は人間の女性、半身はロボットというエヴァはその不完全さがむしろ魅力となっている。エヴァを演じるヴィキャンデルの非人間的なまでの美しさは必見だ。
日本公開年:2015 監督・脚本:アレックス・ガーランド 出演:ドーナル・グリーソン、アリシア・ヴィキャンデル
サイボーグの体に宿る人間の記憶『ゴースト・イン・ザ・シェル』
士郎正宗のコミック『攻殻機動隊』を押井守が映画化した『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』をハリウッドで完全実写化。オリジナル版の草薙素子にあたる“少佐”をスカーレット・ヨハンソン、荒巻をビートたけしが演じるという異色のキャスティングが話題を呼んだ。
サイボーグが普及した近未来の日本。公安9課に所属する少佐はサイバーテロを防ぐべく捜査をおこなっている。少佐はかつて凄惨な事故に遭い、脳とわずかな記憶以外の全身がサイボーグ化されていた。サイバーテロ事件をきっかけに、少佐の失われた過去の記憶が少しずつ蘇っていく。記憶を取り戻したとき、彼女が直面する運命から目が離せない。
日本公開年:2017 監督:ルパート・サンダース 出演:スカーレット・ヨハンソン、ビートたけし
すべてを見通す「目」の正体とは? 『イーグル・アイ』
正体のわからない誰かに監視され、操られるという近未来ディストピアは私たちにとって最も現実味のある悪夢といえるだろう。本作は、どこにでもいる平凡な男女が大いなる何者かの意志に操られ、翻弄される姿をスリリングに描く。
互いに面識もない男女ジェリーとレイチェルはある日、携帯電話を通じて謎の女“アリア”からの指示を受ける。アリアに脅迫され、意味も目的もわからないまま命令通りに動く二人にやがてFBIの手が迫る。
アリアは何者なのか?何を企んでいるのか? ジェットコースターのようにスリリングな展開は観る者に息つく暇も与えない。
日本公開年:2008 製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ 監督:D・J・カルーソー 出演:シャイア・ラブーフ、ミシェル・モナハン
5日間の“命”を生きるAIが最後に出した答えとは?『チャッピー』
人間がロボットに知能を授けた瞬間、ロボットは自らの命を生き始める。それはこの世に子供を生み出すのとどこが違うのだろうか? 「AIとは何か」という答えのない問いに対し、『第9地区』(2010)、『エリジウム』(2013)の監督が独自の解釈を放ったのが本作だ。
凶悪犯罪が多発する近未来の南アフリカ・ヨハネスブルクでAI搭載ロボット“チャッピー”が誕生する。だが生まれて早々、チャッピーは開発者と共にギャング集団に誘拐されてしまう。起動したばかりで子供のようにまっさらなチャッピーは、世界一危険な都市で生き抜くすべをギャングたちから学んでいく。ただし、彼に残されたバッテリーは5日分のみ。思考も意志も持つチャッピーは自らの運命をどのように受け入れるのか?
http://bd-dvd.sonypictures.jp/chappie-movie/
日本公開年:2015 監督:ニール・プロムカンプ 出演:シャールト・コプリー、ヒュー・ジャックマン、シガニー・ウィーバー
ロボット自身が進化を始めるとき、何が起こるのか『オートマタ』
オートマタとは本来、人間によって作られた機械人形を意味する。機械人形はあらかじめ設定された動きをするのみだが、AIを搭載したロボットが自らの意志を持ったとき、彼らは何をするのだろうか?
2044年、砂漠化が進んだ地球では人口が激減し、人類は滅亡の危機にあった。残された人々は人類存続のために開発された人型ロボット“オートマタ”に望みを懸ける。
オートマタには「生命体に危害を加えてはいけない」「ロボット自身で修理・改造をしてはいけない」という二つの制御機能が組み込まれていた。だがいつしか第二の制御機能が破られ、改造されたオートマタが次々と現れるようになる。誰が何のためにオートマタを改造しているのか? オートマタは人類にとって救世主となるのか、それとも?
日本公開年:2016 監督・脚本:ガベ・イバニェス 出演:アントニオ・バンデラス
声だけのAIが夢見る女子を応援する『A.I. love you アイラヴユー』
邦画でもAIと人間の恋を描いた作品はある。『A.I. love you アイラヴユー』は全編がスマートフォンで撮影されている、まさに新世代のラブストーリーだ。
パティシエを目指す23歳の遥は夢に向かってひたむきに努力するも、なかなか実を結ばない。自棄になった遥はある日、スパムらしきメールからアプリをダウンロードしてしまう。すると、「あなたの夢、叶えます」という文字が現れ、男性の声が遥に話しかける。
遥は声の主を“ラヴ”と名付け、夢を叶えるためラヴのアドバイス通りに動き始める。遥を教え導き、大人の女性へ成長させていく“ラヴ”の声を斎藤工が演じる。
日本公開年:2016 監督:宮木正悟 出演:森川葵、斎藤工
スーパーコンピュータは人間を全知全能の神とする『トランセンデンス』
人間の脳とコンピュータが融合したとき、何が起こるのか? 肉体が滅んでも、人間の意識はデジタル信号として永遠に生き続けることができるのか?
AI開発者のウィルは反テクノロジーを掲げる過激派に銃撃され、命を落としてしまう。夫の死を受け入れられない妻エヴリンにより、ウィルの意識はスーパーコンピュータにアップロードされる。サイバー空間の中で蘇ったウィルはネットワークの力によってトランセンデンス(超越)を果たし、全能の神として人類を支配する—— 人工知能を通し、人間の生そして死とは何かを考えさせられる。
『ダークナイト』シリーズのほか『ダンケルク』のヒットも記憶に新しいクリストファー・ノーランが製作総指揮を務める。
日本公開年:2014 監督:ウォーリー・フィスター 出演:ジョニー・デップ、モーガン・フリーマン
ロボット三原則は人類を守りうるのか?『アイ,ロボット』
SF作家アイザック・アシモフが提唱した「ロボットは人間に危害を加えてはならない」「人間の命令に服従しなくてはならない」「ロボットは自分を守らなければならない」というロボット工学三原則は今なお有効だ。本作はロボット三原則の“隙”が突かれたとき起こりうる危機を描く。
家庭用ロボットが普及した2035年のシカゴ。ロボットと人間は平和に共存しているはずだった。だがある日、ロボット工学の第一人者が謎の死を遂げる。殺人の疑いをかけられたのは、博士が開発したロボット“サニー”だった。三原則が存在するにもかかわらず、ロボットが人間に危害を加えることはありうるのか?
現実社会でもロボットは私たちの生活の一部となりつつある。ロボットとの共存を考える上で、あらためて見てみたい作品だ。
日本公開年:2004 監督:アレックス・プロヤス 出演:ウィル・スミス、ブリジット・モイナハン
(ZUU online 編集部)
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